テーラーメイドの2023年モデルは、前年のステルスの2代目として、ステルス2が発売となっています。
ステルスはカーボンフェースの採用により2022年の最も注目を浴びたドライバーですが、アマチュアゴルファーからは「難しい」「ツアープロ寄り」という意見も多く聞かれました。
2代目となるステルス2は、ステルスよりもやさしくなっていると思われますので、その点について解説していきます。
▼ステルス2の最新情報は下記記事をご覧ください。
後方ウェイトが重くなっている
SIMシリーズとなってから、ドライバーにはイナーシャ・ジェネレータと呼ばれるエアロデザインが採用されています。
そして、その最深部には後方ウェイトが搭載されていて、慣性モーメントを高める効果を持たせてあります。
この後方ウェイトは、実はシリーズによりかなりの違いがあります。
▼後方ウェイトの重量
シリーズ | アスリートタイプ | ノーマルタイプ | ドロータイプ |
---|---|---|---|
SIM | 12g | 18g | 12g |
SIM2 | 16g | 24g | 22g |
ステルス | 6g | 6g | 6g |
ステルス2 | 19g | 25g | 30g |
例えばアスリート向けタイプ見てみると、後方ウェイトの重量の変化が分かりやすいです。
12g(SIM)→16g(SIM2)→6g(ステルス)→19g(ステルス2)
後方ウェイトは、SIM2で重くなり、ステルスで軽くなり、ステルス2で重くなっています。
これまでのシリーズの特徴としては、SIMは難しく、SIM2はやさしく、ステルスは難しいと言われています。
一般的に、後方ウェイトが重いと慣性モーメントが大きくなり、寛容性や直進性が増しますので、重いとやさしくなり、軽いと難しくなります。
そのため、後方ウェイトの増減とシリーズの難しさ・やさしさは一致する関係にありまして、ウェイトが重くなっているSIM2は、実際にやさしいシリーズとなっています。
そして、気になるステルス2は、ステルス2PLUSで6g → 19gに大幅アップしています。
これは、SIM以来で最大重量です。
これが意味するところとしては、慣性モーメントを大きくするというテーラーメイドの意図が伝わってくることから、ステルスにやさしさ、つまり、寛容性・直進性をかなり加えたということが言えると思います。
アスリートタイプの前方ウェイトも重量アップ
ついでですから、アスリート向けのドライバーに搭載されているスライダー式の前方ウェイトについても見てみましょう。
▼前方ウェイトの重量
シリーズ | アスリートタイプ |
---|---|
SIM | 10g |
SIM2 | - |
ステルス PLUS | 10g |
ステルス2 PLUS | 15g |
SIM2ではスライダーウェイトが未搭載でしたので、比較可能なのはSIM、ステルス、ステルス2となります。
SIM、ステルスPLUSでは10gでしたが、ステルス2 PLUSでは15gにこちらも大幅増となっています。
重くなる効果としては、スライドさせた場合のドロー・フェードの度合い、つまり、調整効果が高くなります。
さらに、ソールの前側にあるため、低く強い球が出やすくなり、ハードヒッターに好まれる弾道が出やすくなります。
この点だけみると、逆にステルス2はハードになっている印象を受けますが、後方ウェイトの方は6→19gと大幅増で、実に3倍以上になっています。
そもそも2代目はやさしくなる傾向にある
シリーズによって、やさしさ(難しさ)が大きく変わるのは、メーカーの事情が関係していると言われています。
ゴルフクラブは、注目のプロゴルファーが使用することで注目を浴び、それがセールスに繋がります。
そのため、市場で受け入れられる以外に、ツアープロに使ってもらえ、そして、勝ってもらうことがとても重要になります。
最近の例で言えば、渋野日向子のメジャー制覇でPINGのG410が大ヒットを飛ばしたこと、松山英樹のマスターズ制覇や若手女子プロゴルファーの活躍で、スリクソンのZXシリーズに注目が集まっていることが挙げられます。
テーラーメイドのステルスに話を戻すと、チタンに戻らないと宣言してカーボンフェースに挑んたモデルのため、まず、ツアープロに受け入れられることが大命題となります。
もし仮に、ツアープロがSIMやSIM2のままでしたら、「カーボンフェースはイマイチなのか?」と思われてしまうからです。
そのため、テーラーメイドとしては、契約するツアープロに使ってもらえるよう、そして、勝利してもらえるよう、ステルスをツアープロが好む仕様に仕上げていると思われます。
実際に、ステルスは、タイガーウッズを始め、多くのツアープロに受け入れられましたので、シリーズの船出としては成功と言えます。
そうなると、次のモデルはメーカーとしては余裕が出て来ます。
仮にステルスからステルス2にツアープロが移行しないとしても、ステルスシリーズを使っていることには違いがありません。
今度は、アマチュアにも受け入れられやすいよう、2代目はやさしく作る余裕が生まれるというわけです。
一つ前のSIMシリーズでも、SIMは難しくSIM2はやさしいというのは、こういった事情が関係していると言われています。