ゴルフクラブの長さに関する上限規程について、変更案がR&A、USGAから発表されました。
最近では、長尺に注目が集まってきていましたので、ルールにより歯止めを掛ける動いとなっています。
ゴルフクラブの長さ上限が、48インチから46インチに!
ゴルフクラブの長さの規定は、2021年時点では「14インチ以上で、かつ、パターを除いて48インチ以下」とされています。
The overall length of the club must be at least 18 inches (0.457m) and, except for putters, must not exceed 48 inches (1.219m).
引用:USGAの用具規定
しかし、R&A、USGAの2021年10月12日の発表によると、2022年1月から長さ規程の上限が46インチに変更となります。
なお、この規定はローカルルールという位置づけになっていて、プロの競技会、トップアマチュアの公式競技に適用されるとされています。
そのため、一般のアマチュアゴルファーが普通にゴルフ場でラウンドする上では、シニア向けなどでよくみられる46.5インチ、47インチといったクラブは問題無く使用できます。
▼46インチ規制の背景・注意点などについて分かりやすく語られています
クラブの長さは60°法による
ゴルフクラブの長さは、メーカーの公式ページやカタログなどで確認することができます。
ただ、ここで一つ注意が必要なのは、メーカーによりクラブ長さの測定方法に違いがある点です。
今回のルール追加による46インチと言う長さは、60°法によるものとされています。
▼60°法によるクラブ長さの測定方法
60°法では、ゴルフクラブを置いた水平面に対して、ソールの延長線が60°の角度で交わる点を求め、そこからグリップエンドまでの長さを測定します。
60°法以外に、ヒールエンド法を呼ばれる方法があり、文字通りヒールエンドまでを測定する方法があります。
海外めーカーは60°法の採用が進んでいて、反対に日本メーカーは60°法の採用が進んでおらず、それでいてヒールエンド法でもなく独自の測定方法を採用しているところがあると言われています。
60°法で測った方が長くなりますので、46インチと公表されている日本メーカーのゴルフクラブは、ルール上の長さは46インチを超えてしまう可能性があります。
ただし、先程のルールのところでも触れましたが、新たな46インチ規制はローカルルールであって、プロの競技会・トップアマチュアの公式競技に適用されるものとなりますので、普通にゴルフをされている方は関係がありません。
現在でも、高反発クラブを無断で使うのはズルいという空気があるかもしれませんが、わざわざ60°法で測り直すのは現実的ではありませんので、気にされる方は、メーカー公表値で判断すれば良いのではないかと思います。
今回のルール改正は疑問点も残る
ゴルフクラブの長さ上限を46インチにするというルール改正について、規制される側の反応としては、賛同よりも疑問を持たれている方が多いように感じます。
まず、最近のゴルフクラブの傾向としては、軽いヘッド、長尺、絶壁ロフトで、飛距離を伸ばすという手法が注目されています。
象徴的なのは、史上初となる50代でのメジャー優勝を成し遂げたフィル・ミケルソンのドライバーです。
フィル・ミケルソンは、長尺と短尺の2本のドライバーを使い分けていて、長尺の方は、ロフト角5.25°、長さ47.9インチという尖りに尖りまくったスペックを採用しています。
背景には、若い体力に満ちたゴルファーの飛距離に差をつけらえないようにするため、クラブの設定で飛距離アップを図る必要があったという事情があります。
ここで重要なのは、長尺クラブを使う選手は少ないという点です。
長尺で楽に飛ばせるのであれば、全ての選手が採用すれば良い話ですが、現実はそうではありません。当然ながらゴルフクラブは長い程、難しいからです。
47.9インチのクラブでフルスイングをするには、相当な技量が求められます。年配者にとっての苦肉の策とも言えるかも知れません。
こういった事情からすると、今回のルール改正は、若手の飛距離を規制するのではなく、それに追いつくための活路を絶つ行為とも言えます。
最近では、長尺を発売するメーカーも増えていましたので、ルールと市場が向いている方向が反対になっているとも言えます。
▼フォーティーンは47.75インチの長尺ドライバーを発売