テーラーメイドが送り出してきた2022年のニュードライバー「ステルス」。
遂にフェースまでカーボンで賄ってきたことから、関心と注目が集まっています。
テーラーメイドは、20年に渡ってカーボンフェースの実現に取り組んできたそうです。
これはつまり、20年掛かるほどの難しさがあり、20年掛けるほどの価値があるということです。
ゴルフクラブにカーボン素材が用いられるケースは多く、最近では多くのゴルファーの方で、違和感も無いのではないかと思います。
では、何故、ゴルフメーカーはゴルフクラブにカーボンを用いたがるのか?
その答えに行く前に、ゴルフクラブの歴史を振り返ってみましょう。
木材からメタル、そして、カーボンへ
初期のゴルフクラブは、1本の木から削り出されていました。その後、ヘッドとシャフトが別の木材になりました。
そして、一大変化が起きたのはメタルの登場です。シャフト、ヘッドにメタルが使われるようになりました。ちなみに、日本で最初にメタルウッドを活用したのは、ジャンボ尾崎と言われています。
現在は、メタル部分にカーボンが置き換わるようになってきました。
チタンにはチタンの良さもありますので、現在でもゼクシオのようにフルチタンドライバーの製品はありますが、カーボン使用率の方が高いクラブも増えています。
カーボンが使われる理由
メーカー各社がゴルフクラブの素材にカーボンを多用する理由は何でしょうか?
答えは軽量化です。
これはご存知の方も多いと思います。
では、何故、軽量化するのか?
実は、ドライバーのクラブ重量は大凡300gありまして、この重さは長らく変わっていません。
素材の軽量化が大幅に進んでいるのに、ゴルフクラブの重量は変わっていないんです。
つまり、カーボンを用いる真の目的は、軽量化ではありません。
本当の目的は、ゴルフクラブの歪な形が生む問題を解決することにあります。
ゴルフクラブは歪(いびつ)
ゴルフクラブは、顔つき、全体のデザインも評価の対象になっていて、事実、形状が美しいと感じられる方も少なくないと思います。
ところが、これを道具としてみた場合、とても歪な形状と言えます。
他の叩く道具を例に挙げてみましょう。
例えば、DIYで用いるハンマーや野球のバット。これらは、対称性を持った形をしています。
一方、ゴルフクラブの場合は、上下・左右が非対称のパーツ(ヘッド)を、棒の中心軸から離れたところに取り付けています。
つまり、歪で不安定な形状です。
さらに、道具の使い方に目を向けてみましょう。
ハンマーは線対称な道具を、二次元平面内の操作で使います。
一方、ゴルフクラブは、歪な対称性のないゴルフクラブを、三次元空間内で操作します。そして、叩く相手も3Dの球体(ゴルフボール)です。
おまけにシャフトはしなり、ねじれ、長いときていますので、正確なヒットをとても難しくさせています。
軽量化の目的は重心位置の操作
ゴルフクラブは、形状が歪で、振り回してボールを捉えるのが難しい道具です。
そこで、ゴルフクラブメーカーが解決策として取り組んでいることの一つが、重心設計です。
現在のウッドは、昔の木製ウッドとは違って、中がからっぽの中空構造となっています。
その中のどこかに重い物を置けば、重心位置が変わります。
重心位置を変えると、歪で不安定なゴルフクラブを振った時に、ヘッドの動きを変えることができます。
たとえば、ヒール側にウェイトを置くと、重心が軸(シャフト)に近くなりますので、棒(シャフト)をくるくる回しやすくなります。
この挙動が分かり辛いという方は、反対の例を考えてみてください。
ヘッドからものすごく遠くにウェイトが有る場合、くるくる回すのに大きな力が必要になるのは、想像できると思います。
軸(シャフト)にウェイトが近い場合、ヘッドをくるくる回しやすくなりますので、操作のしやすさ(操作性)、ヘッドの返しやすさ(スライス改善)を生み出すことができるわけです。
そして、重心位置を変えることで、ヘッドの返しやすさだけでなく、球の高さ、スピン量、安定性なども変えられることが分かっています。
そのため、ゴルフクラブの重心位置は、上級者向け、初心者向け、シニア向けなど、対象ゴルファーに合わせて変えてあります。
この重心位置の操作をできるかぎり思い通りにするためには、ウェイトの重量を大きく確保する必要があります。
そのために、軽量化が終わりなく進められています。
テーラーメイドのステルスは、軽量化の新時代への第一歩
そして、話はテーラーメイドのステルスドライバーに戻ります。
一つ前のSIM2シリーズのドライバーは、クラウンだけでなく、ソールにもカーボンが用いられました。さらに、骨組み部分にはチタンよりも軽いアルミニウムが用いられています。
軽量化する余地はもう無いようにも思えますが、最後に残されているのがフェースです。
フェースは、思い切り叩いたゴルフクラブがボールと接触するパーツのため、強靭さと反発性能が求められます。
フェース素材としては、ステンレスやチタンが用いられていて、モデルによってはドライバーヘッドで最も重たいパーツとなっています。
この軽量化の最後の砦、または、アンタッチャブルな領域に挑み、新たな世界に踏み込んだのがテーラーメイドの「ステルス」です。
カーボンシートを60枚積層して、強靭さと反発性能を備えたカーボンフェースを実現させました。
これにより、フェースパーツは大凡半分ぐらいの重量となりましたので、大幅に軽量化が進んでいます。
不安視されていた打音・打感も、チタンと違いが分からないと言われるほど評価が高い仕上がりです。
新時代のドライバーに興味がある方は、ステルスを手に取ってみては如何でしょうか?
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