テーラーメイドの2024年の最新モデル「Qi10」シリーズが正式に情報公開されました。
ドライバーは前作同様の全3機種のラインナップになっていて、既にUSモデルでは受注もスタートしています。
各モデルの違いの比較、特徴、スペックなど詳細をまとめました。
⇒ キャロウェイ 2024年 PARADYM Ai SMOKEの最新情報
Qi10シリーズのドライバーは3機種
2024年のテーラーメイドの新作は、前年のステルスシリーズが2代で終了し、新たに「Qi10」となっています。
名前の由来ですが、「Qi」は「THE QUEST FOR INERTIA(慣性の探求)」の略で「慣性モーメントの大きさを追求」していることを意味しています。「10」はその慣性モーメントの数値で、Qi10 MAXドライバーが10,000g・cm2、つまり10Kの慣性モーメントを有していることに因んでいます。
ちなみに、慣性モーメントのルール上限は5,900g・cm2ですから、10,0000(10K)というのは、左右方向と上下方向は足し合わせた値ということで間違いないでしょう。
ドライバーのラインナップについては従来通りの3タイプとなっていて、上図の左から低スピンタイプ(LS)、スタンダードタイプ、ドロータイプ(MAX)となっています。
モデル | 特徴 |
---|---|
Qi10 LS | アスリート向けの低スピンタイプ。 ソール前方にスライド式ウェイト調整機能を搭載。 |
Qi10 | スタンダードタイプ。 弾道バイアスが無い高弾道モデル。 |
Qi10 MAX | 高慣性モーメントタイプ。 イナーシャジェネレータ、ウェイトがヒール寄りでややドロー。 |
PGAツアーのプロは、一早くQi10を実践投入している
Qi10シリーズは、2023年末の時点で既に多くの情報が出ていました。
PGAツアーの選手たちが手にしている映像だけでなく、ロリー・マキロイは試合にも実践投入していて、タイガーウッズも使用しています。
▼ロリー・マキロイは一早く実践投入
Rory McIlroy set to trial out new driver at season finale. #DPWTC | #RolexSeries
— DP World Tour (@DPWorldTour) November 14, 2023
▼タイガーウッズもステルスからQi10へ
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テーラーメイドの契約プロで話題になるのはやはりタイガーウッズです。
復帰戦でステルスを手にしていたことは記憶に新しいですが、今回もQi10 LSドライバーを手にしている映像がプレス発表前から確認されています。
▼コリン・モリカワはMAXを選択
ステルスを使わなかったコリン・モリカワですが、何とQi10 MAXドライバーを選択しています。伝聞情報によれば2°ロフトを立てて7°で使っているという話も聞こえてきています。
テーラーメイドとしても今回は10K超えのMAXを推している感もあり、従来とは違って最もやさしいモデルが、中・上級者にも注目のモデルとなっています。
▼Qi10とパラダイム Ai SMOKEの違い!ゴルファータイプ別オススメモデル
Qi10シリーズ ドライバー3機種の共通の特徴
慣性モーメント
Qi10(10K慣性モーメント)という名前からして、慣性モーメントに拘ったところが最大の特徴です。
その仕組みは、引き続き採用されているカーボンフェース、そして、クラウンの97%をカバーするNEW インフィニティ カーボンクラウンです。
特にクラウンのカーボン領域に関しては、2023年モデルの79%から大幅に拡大しています。
▼左がステルス2、右がQi10
ステルス2とQi10のクラウンを見比べてみると、ステルス2で見られたフェースの直ぐ後ろの金属部分が、Qi10ではなくなっています。
カーボン素材を可能な限り取り入れることで、大幅な軽量化が実現されていて、余剰重量の再配分により、大きな慣性モーメントが実現されています。
こちらは新製品発表会で公開されたこれまでのドライバーの慣性モーメントのグラフです。これまではステルス2 HDの8,700g・cm2ぐらいが最大でしたので、Qi10 MAXの10,000g・cm2というのは15%近い大幅なアップです。
ちなみに、キャロウェイのパラダイム Ai SMOKEは、慣性モーメントではなくフェースの仕組みに重点を置いたため、対極的な考え方となっています。
⇒パラダイム Ai SMOKEのドライバー4機種の違いを比較
主要テクノロジーは継承
外観はSIM、ステルスと似ていまして、見た目通り主要なテクノロジーは継承されています。
- スピードポケット
- カーボンフェース
- ツイストフェース
- イナーシャジェネレータ
- 可変スリーブ
ボディ設計そのものも、フェースとクラウンを軽くするという軽量化のコンセプトが正統進化していますので、カーボンフェースを採用したような劇的な変化は無いと言って良いと思います。
前作ステルス2と、Qi10はハード
新シリーズとなると、前作よりやさしいのか難しいのかが気になる方も多いと思います。
「慣性モーメントが大きい=やさしい」という解釈で、テーラーメイドは製品発表をしていましたが、アマチュアゴルファーとしては、真っすぐ飛ばすにはつかまり度合いも重要な問題です。
ただでさえテーラーメイドはフェードバイアスと言われていますし、2代目よりも初代は難しい傾向にあります。
実際、Qi10は決してつかまりが良いクラブではありません。高MOIによる弾道のブレにくさはありますが、つかまりという点で言えばつかまりにくく、ステルス2よりステルスに近いです。
フェードバイアスという視点(つかまりの逆)で見れば、以下の順になります。
Qi10 LS > ステルス2 PLUS > Qi10 > ステルス2 > Qi10 MAX >ステルス2 HD
右へのミスに少しでも不安がある方は、ステルス2 HDから検討されることをオススメしたいです。
Qi10シリーズ ドライバー3機種の違いを比較
弾道の違い
モデル | Qi10 LS | Qi10 | Qi10 MAX |
---|---|---|---|
スピン量 | 少 | 中~多 | 多 |
弾道 | フェード | ニュートラル | ややドロー |
直進性 | 中 | 中~高 | 高 |
投影面積 | 中 | 中~大 | 大 |
今回の3タイプは、LSが低スピン、スタンダードが高弾道、MAXが直進性が特徴のモデルとなっています。
特にMAXについては公式サイトでドローという言葉が使われていませんので、従来のHDモデルとは位置づけが若干異なると言って良いかもしれません。
それでも、次に紹介するヘッド形状の違いからも分かる通り、明らかにドローバイアスになっていますので、3タイプの中ではドロー度合いが最も強めとなっています。
ヘッド形状の違い
3機種で大きく異なるのはウェイトの位置です。
この違いは前作のステルス2シリーズと酷似していまして、LS、スタンダード、MAXとなるにつれ、ウェイトがネック側に寄っていますので、ドローバイアスになっていて、球のつかまりを良くする働きがあります。
3タイプの特徴についてですが、前方ウェイトの形状と位置を見ると、ほぼステルス2と同じ設計が踏襲されています。
▼ステルス2シリーズのドライバー3タイプ
つまり、LSは低スピン、MAXはドローということになり、継承関係で言えば下記の通りとなります。
- ステルス2 PLUS → Qi10 LS
- ステルス2 → Qi10
- ステルス2 HD → Qi10 MAX
もう一つ注目したいのは、イナーシャジェネレータの最深部の位置です。
これもLS、スタンダード、MAXとなるにつれ、ネック寄りになっていますので、ドローバイアスを強める構造になっています。
上から見たヘッド形状は、LSがきれいな洋ナシ型で、操作性を求める上級者に好まれる形状をしています。
スタンダードはLSをストレッチさせていて、慣性モーメントを持たせた形状となっています。
MAXはストレッチに加えて、ヒール寄りに体積を持たせた丸型になっていますので、さらにつかまりの良さを持たせた形状となっています。
LSはボディに厚みがあり、後方のお尻の位置も高くなっていて、上級者向けのディープ形状になっています。
スタンダード、MAXとなるにつれて、後方は低く長くなることで深低重心になっていて、慣性モーメントと球の上がりやすさを高めてあります。
スペックの違い
モデル | Qi10 LS | Qi10 | Qi10 MAX |
---|---|---|---|
ロフト角 | 8.0/9.0/10.5° | 9.0/10.5/12.0° | 9.0/10.5/12.0° |
ライ角 | 54° | 56° | 58° |
ヘッド体積 | 460cc | 460cc | 460cc |
長さ | 45.5″ | 45.5″ | 45.25″ |
ロフト角、ライ角は、ステルス2と同様になっています。
特にライ角は、ステルス2から2°でフローさせてあって、3タイプの違いがはっきりと弾道に表れやすくなっています。
▼可変スリーブ(ロフト角・ライ角、ウェイト)の使い方
▼ウェイト調整機能の使い方
Qi10シリーズ ドライバー 3種類の試打・解説
<Qi10 MAXドライバー>
- ステルスやステルス2とは別物。
- シャローで前作より投影面積が大きくなった。つかまりを重視した形状。
- 左にはしっかりつかまる。スピンはそれほど入らない。
- 初心者がこれを使えば簡単というクラブではない。
<Qi10ドライバー>
- 構えた感じは、ステルス2のスタンダードモデルと殆ど変わらない。
- ヘッドはMAXより操作しやすい。打感も喰いつく感じがある。
- 球はつかまらない。
- 操作性が上がって、ヘッドの振り抜きが良い。球筋を打ち分けられる。
<Qi10 LSドライバー>
- ヘッド形状はステルス2 PLUSとあまり変わらない。
- 飛ぶけど、そのまま飛んで行く(開いたら開いたまま)。
- 低スピンで強い飛び。
Qi10シリーズ ドライバー 3種類の特徴・スペック
Qi10 LSドライバー
試打・評価
こちらは低スピンタイプのQi10 LSドライバーで、ステルス2 PLUSドライバーの後継モデルということになります。
前作同様にスライダー式のウェイトがソール前方に搭載されていて、18gのスチール製ウェイトが装着されています。
ステルス2と比べると、より前方・より低い位置になっていて、寛容性の備わった低スピンが実現されています。
自分でヘッドを返すタイプの方、シャープに振り抜きたい方、操作したい方にオススメです。
スペック
- ロフト角:8、9、10.5°
- ライ角:54°
- 長さ:45.5インチ
- ヘッド体積:460cc
Qi10 ドライバー
試打・評価
こちらはスタンダードタイプのQi10ドライバーで、ステルス2 ドライバーの後継モデルということになります。
真ん中のモデルとなりますが、テーラーメイドは基本的にハードスペックです。前作のステルス2 ドライバーより、つかまりが抑えられていて低く強い球が出ます。
通常、真ん中のモデルはアベレージゴルファー向けですが、Qi10ドライバーはアスリート~セミアスリート向けです。
スペック
- ロフト角:9、10.5、12°
- ライ角:56°
- 長さ:45.5インチ
- ヘッド体積:460cc
Qi10 MAXドライバー
特徴・評価
こちらはドロータイプののQi10 MAXドライバーで、ステルス2 HDドライバーの後継モデルということになります。
Qi10はシリーズ名にはなっていますが、MOIが10Kを超えているのはMAXのみです。
実際、弾道はとにかく真っすぐ飛んで行って、曲げようにも曲がりません。こう表現すると、やさしいクラブと思われそうですが、つかまりが良いクラブではありません。
スタンダードタイプよりも確実にドローバイアスではありますが、他メーカーも含めて見れば、少しつかまり辛いドライバーです。
特に、MOI10Kだけあってスイング後半にヘッド後方の重たさがあるタイプのクラブのため、ヘッドの開閉を大きくするタイプの方よりも、シャットに構えてそのままクローズに振り抜く方に適しています。
アベレージゴルファーの方は、Qi10シリーズの中で言えばこのモデルが適していますが、もう少し広く見ればステルス2 HDも含めて検討したいところです。
スペック
- ロフト角:9、10.5、12°
- ライ角:58°
- 長さ:45.25インチ
- ヘッド体積:460cc
Qi10シリーズ ドライバー3機種の発売日・発売価格
Qi10シリーズのドライバー3機種の発売日は、2024年2月2日です。
発売価格は、タイプ・シャフトにより以下の通りとなっています。
<Qi10 LSドライバー>
- Diamana Silver TM50:99,000円
- Tour AD VF-6:112,200円
- SPEEDER NX BLACK 60:110,000円
- DiamanaWB 63:110,000円
<Qi10ドライバー>
- Diamana BLUE TM50:95,700円
- Tour AD VF-6:108,900円
- SPEEDER NX BLACK 60:106,700円
- DiamanaWB 63:106,700円
<Qi10 MAXドライバー>
- Diamana BLUE TM50:95,700円