Qi10 LSドライバー・Qi10ドライバー・Qi10 MAXドライバーに搭載されているロフト角・ライ角・フェース角の調整機能(可変スリーブ)について取り上げます。
ロフト角・ライ角・フェース角の調整機能
Qi10 シリーズのドライバーは、ステルス2と同様に3タイプに分かれています。ただし、従来までは「HD」「MAX D」「Type-D」といった明確なドロータイプがありましたが、Qi10シリーズではドローと言う文言は消え、高慣性モーメントを特徴としたものになっています。
可変スリーブは前作のステルス2と同じく3機種全てに搭載されていて、いわゆる4°スリーブと呼ばれるタイプのもので、ロフト角・ライ角・フェース角の調整が可能となっています。
角度を切り替えることで、左右方向(つかまり)、上下方向(打ち出し角)を変更することができますので、より自分の求める弾道にカスタマイズすることができます。
可変スリーブには調整ポジションが12個ある
上図はステルス2シリーズのドライバーの製品取扱マニュアルを参照したもので、スリーブの調整ポジションを詳しく解説しているチャートです。
調整機能の仕組みは、他メーカーでも広く採用されているシンプルなタイプのもので、シャフトの先端に可変スリーブと呼ばれるパーツが装着されています。
ヘッドに挿し込む位置を変えることで、ロフト角・ライ角・フェース角が切り替わる仕組みになっています。
なお、テーラーメイドの可変スリーブには12個の調整ポジションが用意されていて、ロフト角が±2°、ライ角が+4°、フェース角が±4°の調整が可能となっています。
ロフト角・ライ角・フェース角の3つの角度の調整が可能となると、自由自在に調整できそうなイメージがあるかもしれませんが、3つの角度を個々バラバラに好きな値に設定できるわけではありません。
予め12個の設定ポジションが用意されていて、その中から選択する形となりますので、ロフト角・ライ角・フェース角の組み合わせが予め12通り決まっています。
12ポジションの設定内容(ロフト角・ライ角・フェース角)
スリーブに用意されている12個のポジションは、ロフト角・ライ角・フェース角の増減の大きさが以下の通り定まっています。
スリーブ 表記 |
ロフト角 | ライ角 | フェース角 | スピン量 |
---|---|---|---|---|
UPRT | ±0 | 60 | スクエア | ±0 |
| | -0.75 | 59.5 | 1.5°OPEN | -150 |
| | -1.5 | 58.75 | 3°OPEN | -300 |
LOWER | -2 | 58 | 4°OPEN | -400 |
| | -1.5 | 57.25 | 3°OPEN | -300 |
| | -0.75 | 56.5 | 1.5°OPEN | -150 |
STD | ±0 | 56 | スクエア | ±0 |
| | 0.75 | 56.5 | 1.5°CLOSE | 150 |
| | 1.5 | 57.25 | 3°CLOSE | 300 |
HIGHER | 2 | 58 | 4°CLOSE | 400 |
| | 1.5 | 58.75 | 3°CLOSE | 300 |
| | 0.75 | 59.5 | 1.5°CLOSE | 150 |
【注意】専用トルクレンチは別売りになっている!
調整の仕組みや方法の解説の前に、まず、調整に必要な道具について解説しておきます。
ロフト角・ライ角の調整に際しては、専用のトルクレンチが必要になります。
以前は、調整機能が搭載されているドライバーには、専用トルクレンチが付属していましたが、2022年の後期以降は付属がありません。
<トルクレンチの付属が無いドライバー>
- ステルスグローレ PLUS(2022年)
- ステルス2 シリーズ(2023年)
- Qi10 シリーズ(2024年)
そのため、過去のモデルに付属していたものなどをお持ちでない場合は、別途、オプションでの購入が必要となります。
購入される場合は、Amazonで1000~2000円ぐらいで出品されていますので、お手軽に入手することができます。
なお、トルクレンチの入手に関してはちょっとした裏技もありまして、中古クラブで少し古めのテーラーメイドのドライバーを購入するという方法があります。
この方法の良い点は、専用トルクレンチだけでなく、スリーブ付きシャフトも入手できてしまうという点です。
ロフト角・ライ角・フェース角の調整方法
ロフト角・ライ角・フェース角の調整は、専用のトルクレンチを用いて行います。
手順は以下の通りとなります。
- 専用レンチをソール側から挿し込み、ヘッドとスリーブ付きシャフトを緩めます。
- スリーブ付きシャフトを回転させて、調整したいセッティングポジションで、ヘッドのホーゼルに差し込みなおします。
- 再び専用レンチをソール側から差し込み、ヘッドとスリーブ付きシャフトを締め付けて固定します。
テーラーメイドのロフト角の調整方法を詳しく解説した動画
テーラーメイドの可変スリーブの調整方法と設定の注意点について、上記の動画にて丁寧に解説されています。登場するクラブはM4ドライバーですが、同じメーカーの12ポジションのスリーブです。
ローやアップライトに変更して、弾道がどう変わるかも測定結果の数値で解説されています。
可変スリーブはロフト角を購入後に変えられることから、メリットしかないように思われる方もいますが、実は、注意点もあります。
例えば、ロフト角が9°と10.5°のモデルがありますが、どちらも同じ9.75°に設定したとしましょう。
- 9°を9.75°にした場合:フェース角は1.5°クローズ
- 10.5°を9.75°にした場合:フェース角は1.5°オープン
この場合、確かにロフト角の設定は同じ9.75°に揃えることができますが、フェース角はもともとのスクエアとも違う上、9°の方はクローズに、10.5°の方はオープンになります。さらに、ロフト角の変更に合わせてライ角もアップライトになります。
調整機能付きモデルを初めて購入される方は、12種の調整内容を予め確認しておくと良いでしょう。
Qi10 シリーズドライバーの可変スリーブの互換性について
テーラーメイドのスリーブの互換性については、実は、メーカーとしては互換利用を認めていません。
筆者がメーカーに質問したところ、互換性は保証しておらず同じシリーズであっても別のヘッドには使わないようにという注意がありました。
ただ実態としては、同じタイプの可変スリーブであれば、youtubeの試打動画などでも製品・タイプ・シリーズを跨いで使っていますし、ゴルフショップの店員さんからも、互換を前提にした説明を聞いたことがある方も少なくないのではないでしょうか。
つまり、シャフトの互換性に関する現状としては、メーカーは禁止と言っているが、ショップやゴルファーの間では互換可能として扱われている、ということになると思います。
Qi10 シリーズについても、ステルス2やステルスのシャフトを挿して試打していると思われる動画が出ていますし、最近のクラブの間では、ステルス系・SIM系・M系は互換ができてしまうというのが一般の解釈かと思います。
実際、Amazonで販売されているスリーブ付きシャフトでは、対応可能モデルとして以下の説明がありました。
Qi10 Max LS / STEALTH2 PLUS HD / ステルスグローレプラス / STEALTH PLUS HD / SIM2 MAX MAX-D / SIM MAX / M6 M5 / Original One / M4 M3 / GLOIRE F2 / 2017 M2 M1 など
*引用:Amazon
なお、メーカーとしては互換利用を認めていませんので、何かあった場合には保証の対象外となるということは踏まえておいた方が良さそうです。
▼互換に関する詳しい情報は、以下の記事にまとめてありますので、リンクを載せておきます。
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