スリクソンのZ-FORGEDⅡアイアンとZ-FORGEDアイアンについて、違いを解説します。
目次
Z-FORGEDⅡアイアンとZ-FORGEDアイアン
スリクソンのマッスルバックアイアンは、Zシリーズの中の「9」のモデルとして、Z945、Z965などが発売されていました。
しかし、2018年のZ85シリーズではマッスルバック(Z985)の発売がなく、翌年の2019年にZ-FORGEDが発売されています。
そして、その後継となるのがZ-FORGEDⅡアイアンで、4年振りとなる2023年の発売です。
どちらも軟鉄鍛造のマッスルバックだが、バックフェースの形状は大きく異なる
どちらのアイアンも、S20Cを用いた軟鉄鍛造のマッスルバックですが、バックフェースの形状は大きく異なっています。
Z-FORGEDアイアン(初代)はマッスルバックに良く見られるような、とてもすっきりとした綺麗な形状です。
それに対してZ-FORGEDⅡアイアン(2代目)の方は、トゥ・ヒール側を削ぎ落して中央を分厚くした逆T字型になっています。
他メーカーを含めても、他に似たような形状が思いつかないぐらい、得意な形状になっています。
独特な形状を取る意図は、スピンの安定性・ミスに対する寛容性を高めるためで、トウ・ヒールの薄肉により得られた余剰重量により、深低重心が実現されています。
Z-FORGEDⅡアイアンの寛容性は、上下を高め、左右を抑えている
Z-FOGEDⅡアイアンは、深低重心設計を採用しながらも、ヘッド設計面では、ブレード長を抑え、FPを大きく取っています。
上下方向の慣性モーメントは高く設定されていて、芝の影響による上下の打点ブレに対して、強さが増しています。
一方、左右方向の慣性モーメントは、ブレード長を抑えた効果とトゥ・ヒールの薄肉により抑えられています。
左右の打点ブレに懸念がある方は、Z-FORGEDアイアン(初代)の方がミスが出にくくなります。
Z-FORGEDⅡアイアンの方が、よりストレートなネック
先程のヘッド設計の数値からも分かる通り、左の2代目の方がFPが大きく、見た目にもよりストレートなネック形状になっています。
▼FPの比較
番手 | Z-FORGEDⅡ | Z-FORGED |
---|---|---|
3 | 3.6mm | 3.2mm |
4 | 3.9mm | 3.4mm |
5 | 4.1mm | 3.7mm |
6 | 4.4mm | 4.0mm |
7 | 4.6mm | 4.2mm |
8 | 4.9mm | 4.4mm |
9 | 5.1mm | 4.7mm |
PW | 5.4mm | 4.7mm |
実際、全ての番手でZ-FORGEDⅡアイアンの方がFP値が大きく、よりストーレーとなネックになっています。
さらに、Z-FORGEDⅡアイアンは左右方向の慣性モーメントも抑えた設計になっていますので、操作性を重視する方にはZ-FROGEDⅡアイアンの方が適しています。
ソールは2段から3段に進化
スリクソンのアイアンのソールと言えば、前後にバンスを設けたV字型のソールが特徴で、抜けの良さに定評があります。
Z-FORGEDⅡアイアンでは、さらに後方のトレーリングエッジ側も落とした3段に進化しています。
さらに、トゥ・ヒールも丸くして段差を付けた形状になっていますので、様々なショットで芝との接触がより最小限に抑えられ、抜けの良さと切れのある打感が得られます。
打感はZ-FORGEDの方が柔らかく、Z-FORGEDⅡの方がソリッド
打感に大きく影響するのが素材と形状です。
素材はどちらもS20Cで同じですが、同じマッスルバックでありながら、打点部の肉厚設計は大きく異なっています。
▼フィーリングについての感想のところ(2:12)から再生されます
どちらも軟鉄一枚物の柔らかさがありますが、Z-FORGEDⅡアイアン(2代目)の方は、打点エリアを肉厚化しているためか、マッスルバックを愛用するクラブフィッターの小倉氏によると、ソリッドな打感になっているとのことです。
前作よりソリッドになったが、フェースに乗ったやわらかさはある
打感についは、マイルド、ソリッド、吸い付き、乗った感じなど、良しと感じる種類がゴルファーによって異なりますので、この辺りは試打して確認されることをオススメします。
Z-FORGEDⅡアイアンとZ-FORGEDアイアンのスペックの違い
Z-FORGEDⅡアイアンのスペック
番手 | ロフト角 | ライ角 | バンス角 | FP | 長さ |
---|---|---|---|---|---|
#3 | 20 | 60 | 16 | 3.6 | 38.75 |
#4 | 23 | 60.5 | 17 | 3.9 | 38.25 |
#5 | 26 | 61 | 18 | 4.1 | 37.75 |
#6 | 29 | 61.5 | 18 | 4.4 | 37.25 |
#7 | 33 | 62 | 19 | 4.6 | 36.75 |
#8 | 37 | 62.5 | 19 | 4.9 | 36.25 |
#9 | 41 | 63 | 20 | 5.1 | 35.75 |
PW | 46 | 63.5 | 21 | 5.4 | 35.25 |
Z-FORGEDアイアンのスペック
番手 | ロフト角 | ライ角 | バンス角 | FP | 長さ |
---|---|---|---|---|---|
#3 | 20 | 60 | 19 | 3.2 | 38.75 |
#4 | 23 | 60.5 | 19 | 3.4 | 38.25 |
#5 | 26 | 61 | 19 | 3.7 | 37.75 |
#6 | 29 | 61.5 | 19 | 4.0 | 37.25 |
#7 | 33 | 62 | 19 | 4.2 | 36.75 |
#8 | 37 | 62.5 | 19 | 4.4 | 36.25 |
#9 | 41 | 63 | 19 | 4.7 | 35.75 |
PW | 46 | 63.5 | 19 | 4.7 | 35.25 |
まとめ
Z-FORGEDⅡアイアンとZ-FORGEDアイアンの違いについて取り上げました。
2代目となるZ-FORGEDⅡアイアンは、上下方向の慣性モーメントを高め、ソールの抜けの良さが進化しているのが特徴です。
分厚い打感と振り抜けの良さ、上下の打点ブレへの強さ、操作性に優れていますので、ライの状況に左右されにくいアイアンと言えます。
反対に、初代のZ-FORGEDアイアンは、比較すると上下の寛容性が弱いものの左右の寛容性は強く、マッスルバックにしては左右の安定性に優れています。
この辺りの特性の違い、バックフェースのデザインなどから、中古を含めてどちらが適しているか検討されると良いでしょう。