ゴルフの素材で、S20C、S25Cという表記を見かけることがあります。S20CとS25Cにどんな違いがあるのか?そもそも軟鉄とはどんな鉄なのか?気になったついでに色々と調べてみました。
まず、100%の純鉄は存在しない!
鉄素材について調べてみると、100%の純鉄というのは使われていません。
鉄はとても硬いイメージがありますが、純度100%だと脆いからです。脆さだけでなく、技術的にも100%の純鉄は出来ないそうでうす。
我が国の様に優れた製鉄技術を持っている国でさえ、100%の純鉄は出来ない
引用:http://www.katsura-steel.co.jp/company/index.html
そこで、鉄を実用性のある素材とするために、鉄以外に5つの元素を混ぜています。これが鋼と呼ばれるものです。
鋼に含まれる5つの元素(鉄以外)
鋼には鉄以外に5つの元素が含まれています。
元素名 | 元素記号 | 性質 |
---|---|---|
炭素 | C | 多いと固い鋼、少ないと柔らかい鋼になる。 |
ケイ素 | Si | 鋼のねばりが増す。 |
マンガン | Mn | 鋼のねばりが増す。 |
リン | P | 不純物(完全除去が困難)。 |
硫黄 | S | 不純物(完全除去が困難)。 |
(参考:http://www.katsura-steel.co.jp/creation/analysis01.html)
炭素は多く含ませると鉄が硬くなり、少ないと鉄が柔らかくなります。軟鉄鍛造アイアンは打感の柔らかさが好まれるポイントの一つですので、炭素の含有量はとても重要になってきます。
ちなみに、ゴルフクラブの商品説明の中でも、軟鉄という表記だけでなく炭素鋼という表記も見かけますので、炭素が入っているということはご存知の方もいたのではないかと思います。
S20C、S25Cとはどんな素材か?
さて、いよいよS20C、S25Cです。
「S20C」という表記は、「Steel 20 Carbon」を略したものです。
「炭素(Carbon)が20入った鋼(Steel)」という意味です。「20」は含有率を表していて、0.20%の炭素が含まれていることを表しています。
ちなみに、炭素量に応じてS10CからS58Cまで20種類あって、よく使われるのは、S20CからS55Cあたりだそうです。
(参考:http://www.metal-speed.com/processing/2101/)
炭素が多いと硬い鋼になりますので、S20CよりS25Cの方が硬い素材となります。この素材の違いは打感にも表れ、S20Cの方が柔らかくなります。
ちなみに、軟鉄鍛造アイアンのセールスポイントの一つが打感の柔らかさにありますので、もっと柔らかい素材を使えば良いのでは?ということにもなりそうです。なのですが、これ以上柔らかすぎると耐久性が低くなってしまうため、例えばS10CといったS20Cより柔らかいものは、軟鉄鍛造アイアンに使うことができません。