やさしさと打ちやすさを備えたタイトリストのT350アイアン。2023年に初登場して以来、中空構造による高弾道と高い許容性で、多くのゴルファーに受け入れられてきました。
2代目となる2025年モデルでは、新たなデザインとチューニングが加えられ、さらに特徴に磨きが掛かっています。
本記事では、T350アイアンの2025年モデルと2023年モデルの違いにフォーカスして、「どこが変わったのか」「どちらが自分に合うのか」を解説します。
構えた瞬間に違いが見える|外観・形状の変化
※左から2025、2023
2023年モデルは丸みのあるヘッドで安心感があり、初心者にもやさしい印象です。
一方で2025年モデルはエッジの処理が端正で、よりツアーモデル風のマッスルバックライクな造形になっています。輪郭もシャープになっていて構えたときの収まりが良く、狙いを定めやすい形状になっています。
※左から2025、2023
2025年モデルはネック周りやトレーリングエッジの曲線が滑らかに処理されていて、ラフからの抜けの良さに配慮されています。
また、ネック周りやトレーリングエッジの滑らかさが向上し、ラフからの抜けの良さも配慮された設計となっています。
打ってみて分かる”フィーリングの差
2025年モデルと2023年モデルでは、フィーリング(打感・音)に明確な違いが感じられます。以下にそれぞれの特徴を整理します。
<2023年モデル>
- 中空構造+高慣性モーメント設計により、「やや軽めで弾くような打感」。
- フェースの反発が強く、芯を外しても硬さを感じにくい仕様。
- やや高めの金属音。爽快だが、人工的な音に聞こえる場合も。
<2025年モデル>
- 構造の見直しと「マッスルプレート」の採用により、よりソリッドで締まりのある打感に進化。
- 打った瞬間の“芯を喰った”感覚が強まり、やや「T200寄り」のフィーリング。
- ミュートされた落ち着いた打音で、耳にやさしく上質な印象。ラウンド中の集中力も保ちやすい。
2023年モデルは一言で表現すると「 軽めで金属感がある打音」です。軽やかでふんわりとした打感が印象的で、スイートスポットでとらえた瞬間、心地よく抜けていくような軽快さが特徴的です。
一方、2025年モデルは一言で言えば「ソリッドで締まりのある打感」です。打球音からして重厚感があり、手に残る粘りと沈み込むような感触が特徴的です。より芯を感じやすく、「乗せる感覚」もあります。
それぞれのモデルで“気持ちよさ”の質の種類が違います。やわらかく振り抜きたい人には2023年、しっとりと芯をとらえたい人には2025年が適しています。
内部構造とテクノロジーの違い
T350アイアンは、高弾道でミスに強く、大きな許容性を持つ飛び系アイアンです。2023年・2025年モデルともに中空構造を採用し、フェース素材にはマレージング鋼(SUP10)を使うなど、高初速と高打ち出しを両立する基本設計は共通です。
2023年モデルの特徴
「弾き感」と「高さの出しやすさ」が際立ち、振り抜いた瞬間にボールが軽やかに舞い上がります。「飛距離性能を実感」しやすく、ロフトなりの高さを出せるため、グリーンでしっかり止められる安定感も兼ね備えています。
2025年モデルでの進化
基本的な設計思想は継承されつつも、内部構造に細かなチューニングが施されています。タングステンウェイトの配置精度向上やフェース裏面の設計最適化により、フェース全面での反発効率と直進性が強化。打点が多少ズレても弾道はブレにくく、再現性の高さが際立っています。
結論として、両モデルで弾道の基本的な性質に大きな違いはありませんが、2025年モデルは「正統進化型」で寛容性の質がより洗練されています。
弾道データで紐解く!2025年 vs 2023年のチューニング傾向
モデル | ロフト角 | 打ち出し角 | スピン傾向 | 弾道の高さ(傾向) |
---|---|---|---|---|
T350 2023 | 29° | 高め | 安定~やや少なめ | 高め(やや浮く) |
T350 2025 | 29° | 中高 | やや多めで止まりやすい | 中高(抑えめ) |
※主要レビュー記事やスペック情報をもとに、傾向の違いを整理
T350アイアンは、ロフト角の設定に変更はありませんが、打ち出し角の抑制とスピン性能の改善により、2025年モデルは直進性・再現性が強化された印象を受けます。
一方、ふわっとした高さや軽い打感を好む方には2023年の方が扱いやすいと思います。
2025年 vs 2023年|どちらを選ぶべきか?
T350アイアン 2023年モデル
やさしさと高さを重視したい方、軽快な打感が好みの方に適しています。スイングの力が弱めでもボールが上がりやすく、ラフからの出球も安定しやすい設計です。


T350アイアン 2025年モデル
打感の精度や直進性を求める方に適しています。ミスへの強さを保ちながらも、ある程度の操作性を残しているため、中級者以上でも満足できる仕様です。
性能面では2023年モデルと大きく乖離しないものの、打感や重心位置の違いからフィーリングには個性が出ます。移行の要否を考えるとすれば、「フィーリングの違和感があるかどうか」がひとつの判断軸になってくるでしょう。
どちらも「やさしさ」がテーマですが、その中身のチューニング思想が異なります。「高さか、直進性か」「軽快さか、粘りか」、このあたりが好みの分かれ目になると思います。