テーラーメイドの2025年新作アイアンとして注目される「P8CB」と「P790」。
どちらも“やさしさ”と“打感”を両立したモデルですが、素材・構造・設計思想には明確な違いがあります。
本記事では、「P8CB」と「P790」のスペックと特徴を比較し、「どのような違いがあるか」「どんな人に向いているか」を解説します。
P8CBとP790の位置づけ
2025年モデルとして登場した「P8CB」と「P790」は、いずれもテーラーメイドらしい完成度を誇るアイアンですが、設計の出発点と構造的なアプローチはまったく異なります。
設計の方向性や求められる役割の違いを確認することで、対象ゴルファー像も浮かび上がってきます。
モデル | P8CB | P790 |
---|---|---|
モデル | P8CB | P790 |
タイプ | イージー・フォージド | プレイヤーズ・ディスタンス |
素材 | S25C軟鉄+セラミックコア | 8620軟鉄鋳造+4340M鍛造フェース+タングステン |
構造 | 鍛造キャビティ | 中空構造+SpeedFoam Air |
設計思想 | ペリメーターウェイトデザイン (安定性重視) |
SpeedFoam Air+番手別重心設計 (飛距離と寛容性の両立) |
ターゲット層 | 中級~上級者 (打感+寛容性) |
中級者 (飛距離+寛容性) |
P8CBアイアンの位置づけ
- 打感重視の軟鉄鍛造モデル:
S25C軟鉄を使ったコンパクトグレインフォージングにより、ソフトで上質な打感を実現 - 寛容性も高い:
セラミックコアによる軽量化とペリメーターウェイティングで、ミスヒット時の安定性が向上 - アジア芝対応の抜けの良さ:
3面構造のソールが日本芝との相性に優れ、抜けの良さを発揮 - グースネック形状:
操作性はやや抑えられるが、安定性と打ちやすさを優先した設計
P790アイアンの位置づけ
- 飛距離性能に優れた中空構造:
弾き感のあるフェースと最適重心設計で、キャリーと初速を稼げる - 寛容性の高さ:
広めのスイートスポットと貫通型スピードポケットで、芯を外しても飛距離が落ちにくい - 構えやすいセミグースネック:
見た目はアスリートモデル風ながら、実際はやさしい設計 - 打感は中空らしいがかなり向上:
緩衝材による人工的な柔らかさながら、さすがの5世代目はかなり上質に
構えた瞬間に違いが見える|外観・形状の変化
P8CBとP790は、スペック上の数値だけでなく、構えた瞬間の印象にも違いがあります。
とくにトップブレードの厚み、グースネックの角度、フェース高のバランスなど、構造美に直結する要素が随所に見られます。
※左からP8CB、P790
まず、P8CBは同系のブレードモデルであるP7CBと比べると、トップブレードが厚く設計されていて、構えた際の安心感が伝わってきます。ツアーキャビティ形状のため、外周が分厚くなりやすいのも寄与しています。
一方、P790アイアンの方は中空ながらマッスルバックを模したシャープな形状で、振り抜きやすさが感じられます。
※左からP8CB、P790
こちらはネック部分にフォーカスした映像です。左のP8CBの方はオフセット形状がはっきりしています。
軟鉄鍛造アスリート向けCBアイアンというと、ストレートネックをイメージしますし、実際、P7CBはきれいなストレートネックですが、P8CBはかなりグースになっています。
P7CBのイメージでいくと、操作性よりも安定性を重視したゴルファー向けの形状になっています。
※左からP8CB、P790
P8CBアイアンはキャビティ構造を採用していて、ソールの後方が長くワイドになっています。
そうなると抜けの良さが気になるところですが、前方・後方がカットされた3面構造になっていて、芝とのコンタクトが抑えられる設計になっています。深重心による寛容性と抜けの良さの両方が備わっています。
なおソールに関連したところとして、スピードポケットが搭載されているのは中空構造を採用しているP790の方となります。下側でのミスヒットに悩まされている方にとっては、P790アイアンの方が救われる場面が多そうです。
スペックとセッティングの比較|“イージー”と“ディスタンス”の違い
モデル | P8CB | P790 |
---|---|---|
ロフト角 | 30° | 30° |
ライ角 | 62.5° | 62.5° |
長さ | 37″ | 37″ |
ブレード長 | 約80mm | 約79mm |
ソール幅 | やや広め(3面構造) | 標準的 |
素材・構造などの違いから、設計思想に違いがあるのは明らかですが、スペック面に関しては驚くほど似ています。
7番アイアンに関しては、ロフト角・ライ角・長さは完全一致していて、「イージーフォージド」と「プレイヤーズディスタンス」という思想の違いが、この番手の主要スペックに表れていないのは興味深い点です。
一方で、ブレード長やソール幅には微細な差があり、「P8CB」はやや広めの三面ソール構造を採用。これにより、打点の安定性や抜けの良さが強調され、設計思想である「やさしさ」が形状にも反映されています。
番手構成に目を向けると、「P8CB」は5番~PWの6本構成、「P790」はそれに加えて4番とAWを含む8本構成。ロングアイアンの選択肢がある「P790」は、アイアンを多用するゴルファーに向いています。
プロのセッティングから見える│P8CBとP790の役割
P8CBアイアン
- 女子ツアーでは清本美波選手や全美貞選手が使用・テスト中
- 男子ツアーでは石坂友宏選手が投入確定、中島啓太選手もテスト中
- 評価ポイント:
- 「打感がめちゃくちゃ良い」
- 「ミスがミスになりにくい」
- 特にフェアウェイバンカーや悪ライでの抜けの良さが好評
P8CBは、打感と寛容性のバランスを重視するプロに選ばれている傾向が強く、特に状況対応力の高さが評価されています。
P790アイアン
- PGAツアーではフルセットでの使用は少ないが、ロングアイアンのみの採用例が多数
- 競技志向のプロがセッティングの一部として選択するケースが多い
- 評価ポイント:
- 新開発「4340M鍛造フェース」による初速性能と安定性の両立
- 「FLTD・CGデザイン」による番手別の弾道最適化
- 「サウンド・スタビライゼーションバー」による打感・打音の向上
- シャープなヘッド形状と抜けの良いソール設計
2025年モデルの「P790」は、飛距離・寛容性・打感の三要素を高次元で融合していて、ロングアイアンの選択肢としてプロの信頼を得ていることがわかります。
P8CB vs P790 2025|どちらを選ぶべきか?
P8CBアイアン
特徴と選びどころ
「打って納得できる打感」「構えた瞬間の安心感」。これらを重視する方にオススメのアイアンです。
- 軟鉄鍛造による柔らかく研ぎ澄まされた打感
- 長めのブレードと適度なオフセットで構えやすさと安心感
- 日本の芝に適した抜けの良いソール設計
- 打点背面の質量設計で安定性と打感の両立
おすすめしたいゴルファー像
- 打感の精度と構えやすさを重視する方
- ツアー系の美しさとやさしさを両立させたい方
- ミスヒットへの強さと抜けの良さを求める方
- 芝との相性や実戦での安定感を重視する方
P790 2025アイアン
特徴と選びどころ
「飛びすぎない飛び系」「見た目の洗練」「打感の進化」。これらを求める方には、「P790」は飛距離性能だけでなく、フィーリングと精度のバランスが取れた理想的な選択肢です。
- 打感・打音の改良により、中空構造でもフィーリングが洗練
- 新素材「4340M鍛造フェース」により、初速性能と安定性が大幅に向上
- 番手別重心設計で、ロングは高弾道、ショートはスピンコントロール
- シャープな見た目と精密なロフト設計で、競技志向者にも納得の仕上がり
おすすめしたいゴルファー像
- 飛距離と寛容性を両立したい方
- 競技志向でありながら、やさしさも欲しい方
- 見た目の精密さや打感にもこだわる方
- 番手ごとの弾道・スピン精度を求める方