テーラーメイドの2022年の新作は、発売前から話題に上がっていたカーボンフェースを搭載したステルスシリーズです。
2020のSIM、2021年のSIM2は、高い評価を得ていますが、今回のステルスシリーズは、プロの間で移行が進んでいるのか?
テーラーメイドの契約プロのドライバーの移行状況を調べてみました。
ステルスシリーズのドライバーは今回も3タイプある
ステルスシリーズのドライバーは、SIM、SIM2と同様に3モデルのラインナップとなっています。
各モデルの特徴も同じで、低スピン・ノーマル・ドローバイアスと、使う側からしても、とても分かりやすいモデル分けになっています。
PGAツアーのプロたちが使うモデルとしては、ドロー系を好まないでしょうから、ステルスPLUSとステルスの2モデルに集中するのは予想がつきます。
問題は、ステルスの中でどれが人気かではなく、SIMやSIM2と比べてどうかです。
今回、テーラーメイドの契約プロのドライバーを、何から何に変わったか、または、変わらなかったかを調べてみました。
2021年のテーラーメイドPGAツアープロのドライバー使用状況
選手 | 使用ドライバー |
---|---|
タイガー・ウッズ | SIM2 |
ダスティン・ジョンソン | SIM2 MAX |
コリン・モリカワ | SIM |
マシュー・ウルフ | SIM2 |
ローリー・マキロイ | SIM2 |
セルヒオ・ガルシア | SIM2 |
トミー・フリートウッド | SIM2 |
中島 啓太 | SIM2 MAX |
パク・ソンヒョン | SIM2 |
マリア・ファッシ | SIM2 |
チャーリー・ハル | SIM2 |
シエラ・ブルックス | SIM2 MAX |
こちらは、ステルスがリリースされる前の2021年のドライバー使用状況です。
- SIM2ドライバー(2021):8名
- SIM2 MAXドライバー(2021):3名
- SIMドライバー(2020):1名
多くの選手が、低スピンで最もハードなSIM2ドライバーを選択しています。
その中で、ダスティン・ジョンソンを始めとする3名が、寛容性を持たせたSIM2 MAXドライバーを選択しています。
ちなみに、2021年と言えば、松山英樹がマスターズで優勝を果たした年で、この時はスリクソンのZX5ドライバーを使っていたことは記憶に新しい方もいると思います。ただ、シーズン初めの頃は、まだテーラーメイドのドライバーを使っていて、SIM2 MAXドライバーを選んでいました。
75%が低スピンタイプのSIM2ドライバーとSIMドライバーを選んでいて、残りの25%がスタンダードなSIM2 MAXドライバーを選んでいます。
PGAツアーのプロのヘッドスピードを考えれば、低スピンタイプの方が人気があるのは最もでしょう。
それでは、2022年にどうなったかを見てみましょう。
2022年のテーラーメイドPGAツアープロのドライバー使用状況
選手 | 使用ドライバー |
---|---|
タイガー・ウッズ | ステルスPLUS |
ダスティン・ジョンソン | ステルスPLUS |
コリン・モリカワ | ステルスPLUS |
マシュー・ウルフ | ステルスPLUS |
ローリー・マキロイ | ステルスPLUS |
セルヒオ・ガルシア | ステルスPLUS |
トミー・フリートウッド | ステルスPLUS |
中島 啓太 | ステルスPLUS |
パク・ソンヒョン | ステルスPLUS |
マリア・ファッシ | ステルスPLUS |
チャーリー・ハル | ステルスPLUS |
シエラ・ブルックス | ステルスPLUS |
表にするまでもない結果ですね。全選手がステルスPLUSドライバーに移行しています。
SIM2やSIMのままの選手がいないのも驚きですが、ノーマルなステルスドライバーを選んだ選手がいないのも驚きです。
カーボンフェースに対する不安も無ければ、巷では難しいと言われているステルスPLUSは、プロには調度良いようです。
何故、プロはステルスではなくステルスPLUSを選ぶのか?
PGAツアーのプロたちが、SIM2シリーズの時はSIM2 MAXドライバーも選ばれていたのに、その後継のステルスドライバーが誰からも選ばれていないのは何故か?
その理由は大きく2つ考えられます。
理由1:ウェイト調整機能が復活
ステルスシリーズとSIM2シリーズの大きな違いとしては、カーボンフェースに目が奪われがちですが、実はもう一つ大きな違いがあります。
それは、ハードな方のドライバー、スライダー式のウェイト調整機能が復活したことです。
そもそもテーラーメイドのハードな方のドライバー、Mシリーズで言えば、M1・M3・M5ドライバー、そして、初代のSIMドライバーには、ウェイト調整機能が必ず搭載されていました。
SIMドライバーで縦方向の調整機能が廃止されましたが、それでも左右のドロー・フェードのスライダーは搭載されていました。
これがSIM2ドライバーでは廃止されていて、この点が上級者を始めツアープロの間で評判が悪く、復活を望む声が大きかったとも言われています。
そして、2022年のステルスでは、ドロー・フェードのウェイト調整機能が復活しています。
実際、PGAツアーのプロたちは、ステルスPLUSのウェイトをスライドさせている様子が伺えます。
▼タイガーウッズのウェイト設定
こちらはタイガーウッズのステルスPLUSドライバーです。ややドロー設定になっています。
▼コリン・モリカワのウェイト設定
こちらはコリン・モリカワです。タイガーウッズとは反対に、ややフェードにウェイトをスライドさせています。
▼ニコライ・ホイゴーのウェイト設定
こちらは既に欧州で2勝を挙げているニコラス・ホイゴーです。ウェイトは少しだけドローに移動させてあります。
このようにツアープロたちはウェイトを移動させて、自分のスイングに合わせたヘッド挙動になるよう調整しています。
理由2:ステルスがツアープロに寄せた仕様になっている!?
ツアープロに寄せたというのは、アマチュアに寄せたの反対の意味です。簡単に言えば、ツアープロ寄り=難しい、アマチュアより=やさしい、ということになりまして、MOI、ドローバイアス、球の上がりやすさなどで判断されることが多いです。
SIM | ツアープロ寄り |
SIM2 | アマチュアより |
ステルス | ツアープロ寄り |
SIMはツアープロ寄り、SIM2はその逆にアマチュアより、そして、ステルスは再びツアープロ寄りと言われています。
その理由としては、ステルスシリーズでは大きくキャンペーンを張って、カーボンフェースという新たなテクノロジーに舵を切りました。
もうチタンに戻らないと宣言して、退路を断っていますので、ステルスで失敗は許されないという覚悟がある様子がビンビン伝わってきます。
そして、その成功有無を測る一つの尺度が、ツアープロの移行です。
ツアープロからそっぽを向かれては、一般ゴルファーが着いて来ないでしょうから、ただでさえカーボンフェースに不安を抱いているであろうツアープロたちに満足してもらうために、ツアープロのニーズを取り入れた方向になっていることが想像されます。
特に、SIM2がやさしいと言われていましたので、バランスを取る意味でも寄り戻しでツアープロ寄りなのは必然とも言えます。
まとめ
ステルスシリーズがリリースされ、テーラーメイドの契約プロのドライバーの移行状況がどのようになっているかを調べてみました。
SIMシリーズでは、選択モデルがバラけていましたが、ステルスシリーズではステルスPLUSドライバーのみが選ばれているという結果は、予想外の方も多かったのではないでしょうか?
特に、youtubeなどで上級者がステルスPLUSドライバーを敬遠して、ノーマルなステルスドライバーを選ぶケースが見受けられますので、改めてツアープロがドライバーに求めるものが大きく違うことが感じられる結果です。
今後、気候の変化や時間の経過と共に、別のモデルに挑戦したり、前のモデルに戻したりということが恐らく出てきますので、興味深い変化がありましたらまた取り上げます。