2024年は、PINGとテーラーメイドが「10K」ドライバーを同日に発表しました。
ミズノも既存シリーズのST 230に高MOIモデル「ST-MAX230」を追加し、大慣性モーメントへの注目と評価が高まっています。
本記事では、10Kを達成しているPINGのG430 MAX 10KドライバーとテーラーメイドのQi10 MAXドライバーについて、両者の違いを解説していきます。
10Kに興味がある方で、どちらのモデルが良いか迷われている方は、自分に合ったモデルがどちらか確認してみてください。
2024年の10Kドライバー
▼左がG430 MAX 10K、右がQi10 MAX
10Kとは、Kが1000を意味しますので、10,000という数字を表しています。
PING、テーラーメイドともに、横方向と縦方向の慣性モーメントを足した値が10,000[g・cm2]を超えたという意味で、モデル名に10Kや10を付しています。
- PING:G430 MAX 10Kドライバー
- テーラーメイド:Qi10 MAXドライバー
どちらも正確な慣性モーメントの数字は公表していないため、どちらの方が慣性モーメントをが大きいかは分かりません。
▼テーラーメイドの歴代モデルのMOI
ただ、テーラーメイドで言えば、これまでのMOIの最高値はステルス2 HDドライバーの約8,700[g・cm2]でしたので、10,000[g・cm2]超えとなると一気に15%近く上げています。
ギリギリの世界で設計されているゴルフクラブとしては、実に大胆な変更であることがお分かりいただけるかと思います。
G430 MAX 10KドライバーとQi10 MAXドライバーの違いを比較
PINGとテーラーメイドの10Kドライバーの違いを比較しながら、10Kドライバーを選ぶ上で注意したいポイントとなる点を解説します。
ポイント① 振りやすさ、右への抜けにくさは、Qi10 MAX
高MOIドライバーというと、深低重心のため後方が重いことがネガティブ材料として良く指摘されます。
後方が重いと重心点までの距離が長いため、ヘッドを自力で返しにくいため、インパクトまでにスクエアにしきれず、右に抜けやすくなります。
ただし、ここで一つ注意点がありまして、フェースをシャットのまま(なるべく開かずに)スイングするタイプの方は、もともと開閉操作があまり伴わないため、後ろが重いヘッドでも右に抜けることは少なく、高MOIの恩恵を受けやすいと言われています。
つまり、シャットではないタイプの方は、後方の重たさが少ないタイプのドライバーの方が適しています。ちなみに筆者の体感で言えば、このタイプのゴルファーの方が多いと思います。
後方の重たさが気にならないのはどちらかと言うと、テーラーメイドのQi10 MAXドライバーの方となります。
シャットではないタイプの方で、右へのスッポ抜けが気になる方は、Qi10 MAX 10Kドライバーの方がオススメです。
ポイント② 低スピン性能は、G430 MAX 10K
高MOIドライバーは深重心のため、どうしてもスピン量が増えてしまう傾向にあります。
最適スピン量は、打ち出し角、ヘッドスピードなどによって変わってくるため、安直に低スピンが無条件に良いという訳ではなく、スピンが入った方がプラスに働くケースも多々あります。
そのため、現在の自分の弾道が吹けているか(スピンが多い)、お辞儀しているか(スピンが少ない)によって、更なる低スピン性能が必要かどうかが違ってきます。
- ふわっと上がり過ぎて飛距離を損している → スピン量を減らす
- 浮き上がりきらず飛距離を損している → スピン量を増やす
自分に求めるスピン量を確認したところで、どちらのドライバーが適しているかですが、スピンが入りやすいのはQi10 MAXドライバーの方で、スピンが減りやすいのはG430 MAX 10Kドライバーです。
ポイント③ クラブ長さの違い
クラブのスペック面でも、予め留意しておきたいポイントがあります。
以下は、標準仕様(純正シャフト・SRスペックで比較)でのスペックを比較したものです。
モデル | Qi10 MAX | G430 MAX 10K |
---|---|---|
ロフト角 | 9/10.5/12° | 9/10.5/12° |
ライ角 | 58° | 59.5° |
長さ | 45.25″ | 45.75″ |
重量 | 306g | 302g |
調子 | 中 | 中先 |
最も注目したい点は、クラブ長さです。
Qi10 MAXドライバーは、Qiシリーズの3種のドライバーの中でもショートネックを採用していることから、シャフト長さは同じながらもクラブ長さが短く設計されています。
Qi10 MAXドライバーは45.25インチとなっていまして、G430 MAX 10Kドライバーの45.75インチと比べると0.5インチもの差があります。
さらにG430 MAX 10Kドライバーの方は標準シャフトが先中調子となっいますので、長尺でゆったりしたスイングでしなりを効かせたい方にとても適しています。
クラブのコンセプトの立ち戻ると、高MOIで少々のミスを許容してくれるわけですから、打点ミスは恐れず、長尺で回転半径を大きくして思いきり振り抜いて、飛距離アップを狙えるのが10Kの醍醐味とも言えます。10Kを活かすという意味では、G430 MAX 10Kドライバーがオススメです。
ただ、ドライバーに求めるものは十人十色です。
高MOIかつ短尺で曲がる要素を最大限に消したいという考え方もあります。そういった方は、Qi10 MAXドライバーが良いでしょう。
ポイント④ 前のモデルも検討したい!
PINGのG430 MAXドライバー
PINGの方は、2022年に発売のG430シリーズの追加モデルという形を取っていますので、G430の他のモデルもまだ現行モデルという位置づけです。
そして、シリーズのスタンダードモデルであるG430 MAXドライバーの出来がとても良く、後方ウェイトにより弾道調整できるという利点があります。
もともと高MOIに拘って開発し続けているメーカーのため、G430 MAXドライバー自体、弾道のブレなさは非常に優れています。
弾道カスタマイズに魅力を感じる方、少しヘッドの操作性や返しやすさが欲しい方は、G430 MAXドライバーの方が扱いやすい可能性がありますので、合わせて検討されることをオススメします。
テーラーメイドのステルス2 HDドライバー
テーラーメイドでも、一つ前のステルス2、二つ前のステルスがまだ公式サイトに掲載されていて、販売もされています。
特に、一つ前のステルス2 HDドライバーの出来がとても良く、Qi10 MAXドライバーの登場前の時点ではテーラーメイド史上で最も高MOIという位置づけで、こちらも寛容性に非常に優れています。
おまけにハイドロー仕様という多くのアベレージゴルファーが求める弾道バイアスが備わっています。
右への抜け、球が上がらないという不安がある方は、ステルス2 HDドライバーも合わせて検討されることをオススメします。