Fujikuraから発売の「VENTUS TR BLACK」シャフトについて、製品の特徴、スペック、試打した評価を取り上げます。
目次
VENTUS TR BLACKの特徴
VENTUS TRは、ツアーの評価を取り入れたシャフト
VENTUSはFujikuraのSPEEDERに並ぶシャフトブランドの一つで、PGAツアーでの使用率No.1を目指して開発されたアメリカ初のシャフトです。
本記事で取り上げているVENTUS TR BLACKは、VENTUSの中の「VENTUS TR」というシリーズで、ツアープロ(Tour)の評価(Rated)が反映されていて、中間部の剛性を高めて安定性を持たせたシャフトとなっています。
BLACKは低弾道・低スピンの最もハードなシャフト
VENTUS TRの発売当初は、2022年にBLUEのみでしたが、翌年の2023年にREDとBLACKが追加されました。
これにより、ノーマルなVENTUSと同様に、RED、BLUE、BLACKの3種類となっています。
ちなみに、ノーマルなVENTUSの方は、何故か日本ではBLUEとBLACKのみで、何故かREDの発売はありません。
モデル | キックポイント | 打出し | スピン量 |
---|---|---|---|
VENTUS TR BLACK | 先中 | 中~高 | 低~中 |
VENTUS TR BLUE | 中元 | 中 | 低 |
VENTUS TR BLACK | 元 | 低 | 低 |
RED、BLUE、BLACKの基本的な違いは、キックポイントの位置にあり、それにより打ち出しやスピン量に違いが生まれます。
簡単に言えば、BLACKは元調子のためヘッドが動きにくく、低弾道・低スピンで、つかまりを抑えた弾道が特徴として表れます。
ノーマルBLACKとTR BLACKの違い
本記事の最後の方で、ゴルフ識者、SNSなどでの評価を取り上げていまして、剛性感については、”硬い”という方と、”しなりを感じる”という意見も出ています。
対極の内容に違和感を感じられるかもしれませんが、実はこれこそTR BLACKの特徴を表しています。
TR BLACKは、ノーマルなBLACKよりも剛性を高めてありますが、高めてあるのは手元側です。そのため、ノーマルなBLACKと比べると、TR BLACKは手元側と先側で剛性差が生じています。
手元側のハードさを強く感じた方は、”硬い”という感想を持ち、剛性差を感じ取った方は、ノーマルよりも”しなる・つかまる・動く”という感想に繋がっているようです。
VENTUS TR BLACKの試打・解説
プロがVENTUS TR BLACKを試打・評価
テーラーメイドのSIM2ドライバー(10.5°)にVENTUS TR BLACK 5S、6S、7S、7X、8Xを挿して試打されています。
- TR REDと好対照でフェードになる。
- ノーマルなBLACKは単純に硬くてしならないが、TR BLACKは先がしなる感じがする。
- 中元か手元調子の感じがして、タイミングが取りやすい。
- 左が怖くなくて、叩ける感じがする。TR REDより叩ける。
- 手元から中間に掛けてはノーマルなBLACKよりも硬く、中間から先端にかけてはノーマルなBLACKと同じぐらいの硬さ。そのため、剛性差でしなりが感じられる。
VENTUS TR BLACKとVENTUS BLACKの違いを試打解説
- 手元がずっしりしているが、ノーマルなブラックより動く。
- ノーマルなブラックと違って、ぐっと球を押す。
- ノーマルなブラックがきつい人に良い。
- 間が取りやすくて、押してくれる。
- シャフトに仕事して欲しくない人はノーマルなブラック。
- TRブラックは、ノーマルなブラックとブルーの中間な感じ。
VETUS TR BLACKをマーク金井氏が解説
- スピーダーがヘッドを加速させるシャフトだとすると、VENTUSは余計なことをしない。
- TRのBLUEとBLACKで、同じSで比較すると、BLACKの方が0.5フレックス以上硬い。
- TR BLACKは、手元が硬い手元調子。手元が硬いが先も硬いことで、ヘッドがアッパーに動き辛く球が吹けない。
- 余計な動きをしないので、操作性が良い。
- スイングテンポが速い人は、TR BLACKは手元が硬いので、ヘッドが付いてくる。
VENTUS TR BLACKのゴルフ識者の評価
クラブフィッター吉川氏の評価
- 3モデルに共通しているのは全体的に剛性をアップさせていることで、締まりのあるしなり感と打点のバラつきを最小限に抑えてくれる安定性。トルクもベンタスシリーズよりもわずかに少ないので、フレックスは慎重に選びたい。
- ベンタスブラックと比べて手元の剛性は高く先端から中間は低いので、TRになってつかまりはよくなっています。
- ハリはあるものの少ししなりを感じやすくなっていて、弾道は低弾道でスピン量も少ないモデルです。
- 入射角のアッパー軌道が強く球が上がりすぎてしまうプレーヤーにはマッチする。
DO GOLF店長の評価
- ベンタスTRレッドをテストした時はステルス2の9度でしたが、TRブラックの10.5度のほうが低い弾道でした
- 真っ直ぐ打つ事は出来ましたが、噂通りに手強いシャフトでした
- 逆にスピン量が多いパワーヒッターが使用すれば確実に無駄なスピン量を抑えて飛距離アップが望めそうです
ALBA記者の評価
- 『ベンタスブラック』でもハードに感じていたが、『TRブラック』はさらに手元剛性が上がっていた。
- 『ベンタスブラック』には手元側にややマイルドさを感じたものだが、『TRブラック』はそれより遥かに全体が引き締まった印象で、しなりや間を感じて打つことが難しかった。
VENTUS TR BLACKのSNSでの評価
VENTUS BLACKほどパリパリ感はなく、スムーズに切り返せる
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タイミングがとりやすく、ボールを押してくれる
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しなりを感じやすく、打ちやすい
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心地良いしなり戻り
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先端剛性が高いので、アッパー軌道になりにくい
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TRブラックはブラックよりも剛性が高い
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VENTUS TR BLACKのスペック
モデル | 硬さ | 重量 | トルク | 調子 | 長さ | Butt径 | Tip径 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
VENTUS TR BK 5 | S | 59 | 3.5 | 元 | 46 | 15.40 | 8.5 |
〃 | X | 60 | 3.3 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 |
VENTUS TR BK 6 | S | 69.5 | 3.1 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 |
〃 | X | 70 | 2.9 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 |
VENTUS TR BK 7 | S | 79.5 | 2.8 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 |
〃 | X | 80 | 2.7 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 |
VENTUS TR BK 8 | X | 89 | 2.6 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 |
VENTUSシャフトはUSで誕生したシャフトで、ツアープロの声を反映したVENTUS TRは、当初、BLUEのみの1種類でした。
BLUE発売の翌年にはRED、BLACKが追加され、ノーマルのVENTUSと同様に3種類となっています。
BLACKに関しては、USモデルと日本モデルでスペックの内容は同じで差異はありません。
VENTUS TR BLACKの発売日・発売価格
VENTUS TR BLACKの発売日は、2023年3月16日です。発売価格は税込み55,000円(税抜き50,000円)となっています。