グラファイトデザインから発売の「ツアーAD VF」シャフトについて、製品の特徴、スペック、試打した評価を取り上げます。
ツアーAD VFの特徴
前年のCQとは真逆のシャフト
ここ数年のツアーADは、どちらかと言えば元系と先系のシャフトを交互に出しています。
前作はツアーAD CQがリリースされていて、ツアーADの中でも群を抜いてつかまりと高さが出る走り感のある先中調子のシャフトでした。
一点、2024年モデルのツアーAD VFは、先側の剛性感が高く、ハードヒッター向けのしっかり叩けるタイプの中元調子のシャフトです。
ちなみに「VF」は、「Victory Force」からきていて、「勝利への力」という意味が込められています。
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Victoryでレッド(赤色)と言うことで、タイガー・ウッズっぽいなと思っていたところ、ドライバーをステルスPLUSからQi10 LSに変更するのと同時に、シャフトもVENTUS BLACKからツアーAD VFに変えています。
弾道は低スピン・低弾道のフェード系
こちらはツアーADで公開されているマトリクスチャートです。
最近は特徴の差が少ないとも一部で言われていたことが影響してか、CQとVFは対極を最も遠い位置にマッピングされています。
元調子系なので左下のフェード・低スピン・低弾道のエリアに分布されています。つかまりに関しては、DI、UB、XCよりもありますが、弾道の低さが最も際立っている点が大きな特徴です。
対象ゴルファーとしては、思い切り叩いても吹けない低スピン・強弾道を求める方となります。
間違っても、球が上がらない方、つかまりが弱い方が使うと大怪我をすることになります。手元側にしなりポイントがありますので、トップでの切り返しがゆっくりという方も、タイミングが合わせづらい可能性が高くなります。
VFは元調子系の中でも先がしっかり
▼剛性ゲージの比較
モデル | 元 | 中元 | 中 | 先中 | 先 |
---|---|---|---|---|---|
VF(2024) | 3+ | 2 | 4 | 4 | 5 |
UB(2022) | 2+ | 2+ | 2+ | 3 | 4+ |
XC(2020) | 1 | 2 | 4 | 3+ | 4 |
こちらはVFと同じタイプとして挙げられるUB、XCについて、BUTTからTIPの剛性ゲージを比較したものです。
この3シャフトは、先程のマトリクスで言うと左下にあるモデルで、先がしっかりしていて暴れず、思い切り叩けるタイプのシャフトのため、VFに興味がある方にとってはこの3シャフトの違いに注目されるかと思います。
注目したいのはVFの中~先までの剛性が高い点、そして、キックポイントよりも手元と先の両方で剛性が高い点です。
VFは中~先が4・4・5と硬くしてありますので、先があばれず安定性が高くなります。
また、剛性ゲージがUB、XCでは先に行くほど硬くなる(柔→剛)のに対して、VFはキックポイントが最も柔らかいため剛→柔→剛という分布になっています。
この剛性マッピングの違いがしなり戻りを生み打しているのか、VFは意外にも3シャフトの中で最もフェードバイアスが弱めに位置づけられています。方向性に関しては、ベンタスブラックのような「硬い棒」というのとは一味違いがあります。
重量帯は40~70gまで4クラス
この後で詳しいスペックを取り上げていますが、先に選択肢としての重量帯・硬さを説明しておきます。
硬さ | 40g | 50g | 60g | 70g |
---|---|---|---|---|
R2 | 〇 | 〇 | ||
R1 | 〇 | 〇 | ||
SR | 〇 | |||
S | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
X | 〇 | 〇 | 〇 | |
TX | 〇 | 〇 |
R1とSRの関係性が、毎度、微妙だなとは思いますが、それぞれの重量クラス帯にで求められそうな硬さが3~4種類用意されています。
シャフトの特徴を考えると、アマチュアでは5S、5X、6Sあたりが主流となりそうです。
対象ゴルファー
- 昨今の低スピンヘッドであっても、低スピン・低弾道を求める方
- 思い切り叩いてもヘッドが暴れないしっかり感が欲しい方
- トップでの切り返しが速めの方
- 左のミスを消したい方
ツアーAD VFの試打・解説
ツアーAD VFをトラックマンで計測試打・評価
テーラーメイドのSIMドライバー(9°)にツアーAD VFの5S、5X、6S、6X、7Sを挿して試打されています。
- 振りやすい素直なシャフト。中調子のDIやPTのように手元のタイミングが取れて、先も素直に戻ってくる。
- 手元が柔らかいというより、タイミングが取れるポイントになっている。
- DIが動いているような感じ。XCよりも低スピン。パワーがある人は飛びそう。
- VENTUSを使っていて、つかまえきれない人に良い。VENTUS REDよりもつかまらないけど、VENTUS BLUEよりもつかまる。
- 程よいつかまりがあって、スピンの少ない強い球が打ちたい方に良い。
ツアーAD VFのスペック
モデル | 硬さ | 重量 | トルク | TIP径 | BUTT径 | 調子 |
---|---|---|---|---|---|---|
VF-4 | R2 | 46g | 5.6° | 8.5 | 15.1 | 中元 |
R1 | 46g | 5.5° | 15.1 | |||
S | 47g | 5.5° | 15.15 | |||
VF-5 | R2 | 55g | 4.3° | 15.15 | ||
R1 | 55g | 4.3° | 15.15 | |||
S | 56g | 4.3° | 15.2 | |||
X | 59g | 4.3° | 15.3 | |||
VF-6 | SR | 64g | 3.3° | 15.25 | ||
S | 65g | 3.3° | 15.3 | |||
X | 67g | 3.3° | 15.35 | |||
TX | 68g | 3.3° | 15.4 | |||
VF-7 | S | 74g | 3.0° | 15.3 | ||
X | 75g | 3.0° | 15.35 | |||
TX | 77g | 3.0° | 15.4 |
ツアーAD VFの発売日・発売価格
ツアーAD VFの発売日は、2023年10月6日です。発売価格は46,200円です。
なお、市場での最安値を調べてみたところ、スリーブ付きで楽天では27,400円、Amazonでは28,270円でしたので、どのメーカー対応のものでも概ね3万円以下で購入できるようです。