PINGのアスリート向けアイアンとして注目される「i240」と「BLUEPRINT S」。
どちらもツアープロ・アスリートゴルファーから人気がありますが、、素材・構造・設計思想には明確な違いがあります。
本記事では、「i240」と「BLUEPRINT S」の特徴・スペックなどを比較し、「どのような違いがあるか」「どんな人に向いているか」を解説します。
i240とBLUEPRINT S アイアンの位置づけ

2024年に登場した「i240」と「BLUEPRINT S」は、PINGのアスリート向けアイアンとして発売されています。
位置付けとしては、”少しやさしい上級者向けアイアン”で同じため、どちらを選ぶべきか迷われる方が少なくないようです。
ただ、モデルとしては完全に別物で、設計の方向性や求められる役割が違いますので、これらを確認することで、対象ゴルファー像も浮かび上がってきます。
| モデル | i240 | BLUEPRINT S |
|---|---|---|
| シリーズ | iシリーズ | BLUEPIRNTシリーズ |
| 素材・製法 | ステンレス鋳造 | 軟鉄鍛造 |
| 形状 | ハーフキャビティ+バッチ | ハーフキャビティ |
| 設計思想 | 低重心・周辺重量配分 (寛容性+飛距離) |
軟鉄鍛造・周辺重量配分 (打感+寛容性) |
| ターゲット層 | 中~上級者(中級より) | 中~上級者(上級より) |
i240アイアンの位置づけ
- 再現性と安定性:
キャビティ構造と低重心設計により、ラインの出しやすさ、弾道の再現性の高さがあり、安定したゴルフに繋がる - 飛距離と高さを両立:
アスリート向けアイアンとしてはロフトが少し立ててありながら、低重心設計にもなっているため、飛距離と高さが出しやすい - シャープなヘッド形状:
寛容性を備えながらも、ヘッド・ネックはシャープで無駄がなく、安心感と操作性の両方を感じられるヘッド形状

BLUEPRINT Sアイアンの位置づけ
- 軟鉄鍛造による打感の良さ:
8620カーボンスチールを用いた鍛造製法により、素材が生み出す心地良いフィードバックが得られる - 操作性と寛容性のバランス:
ブレードらしいコントロール性能に、キャビティ構造の安定性をプラスした難しすぎない本格派アイアン - コンパクトなヘッド形状:
小ぶりなヘッドにより、プレーヤーの意図がダイレクトに伝わり、自在なショットを可能に

構えた瞬間に違いが見える|外観・形状の変化

※左からi240、BLUEPRINT S
ネック形状は、どちらもPINGの契約プロに数多く愛用されているだけあって、どちらもすっきりとしています。
何方も単体で見ればきれいなストレートネックですが、見比べると程度に違いがあります。
実際、USサイトで公開されているオフセット値を見ても、BLUEPRINT Sの方が全番手で小さいため、よりストレートな設計になっています。
- やさしさを感じるのは、i240
- 操作性を感じるのは、BLUEPIRNT

※左からi240、BLUEPRINT S
左のi240は、トップブレードにやや厚みがあり、わずかにグースが効いたネック形状となっていて、「安心して打てそうだ」と感じさせるバランス設計になっています。全体的に直進性と寛容性を意識した造形で、ターゲットに対してまっすぐ構えやすい印象があります。
一方、右のBLUEPRINT Sは、トップブレードが薄く、ネックの入りもストレートに近いシャープな形状です。よりコンパクトに見えるため、操作性を重視するプレーヤーには「球を操れる」イメージが湧きやすい形状です。
- 直進性を感じるのは、i240
- 操作性を感じるのは、BLUEPIRNT
スペックとセッティングの比較|“ディスタンス”と“コントロール”の違い
| モデル | i240 | BLUEPRINT S |
|---|---|---|
| ロフト角 | 31.5° | 33° |
| ライ角 | 62° | 62° |
| 長さ | 37″ | 37″ |
| オフセット | 0.09” | 0.08” |
| バウンス角 | 7.5° | 8.0° |
スペック面での大きな違いはロフト角にあります。
実は、i240の前のモデルであるi230は、BLUEPRINT Sと同じ33°(7i)でした。しかしi240ではロフトを立てていて、飛距離性能を強化する大胆な変更が施されています。
前章で取り上げたヘッド形状の違いも含めると、
- i240:安定して飛距離と高さが出せる
- BLUEPRINT S:操作性・打感が特徴で、寛容性も少しある
というアイアンの特徴・弾道の違いがあります。
プロのセッティングから見える│i240とBLUEPRINT Sの役割
PING契約の男子プロ女子プロで、アイアンの使用状況を調べてみると、なかなか興味深い結果が見えてきます。
▼PING契約プロの使用アイアン
| モデル | 男子プロ | 女子プロ |
|---|---|---|
| G430 | 0名 | 1名 |
| i210 | 0名 | 1名 |
| i230 | 5名 | 3名 |
| i240 | 1名 | 5名 |
| BLUEPRINT S | 4名 | 8名 |
| BLUEPRINT T | 1名 | 0名 |
男子プロは、BLUEPRINT Sとi230が半々ぐらいで、逆に言えばi240は1名に留まり人気がありません。i240のロフトを立てた設定では飛び過ぎてしまうことが一つの要因として考えられます。
女子プロは、BLUEPRINT Sが人気なのは同じですが、i230とi240では男子とは反対にi240の方が人気があります。
その意味では、i230は上級者向けのかなりやさしいモデルでしたが、i240はロフトを立てて中級者向けに寄ったため、男子プロからは殆ど選ばれず、反対に女子プロから重宝されています。
i240 vs BLUEPRINT S|どちらを選ぶべきか?
i240アイアン
特徴と選びどころ
打感の良さを備えていますが、BLUEPRINT Sと比べると繊細さでは一歩譲ります。
その分、構えやすさや安心感を重視した設計が魅力で、適度なオフセットによりターゲットに対してまっすぐ構えやすく、安定したショットを実現します。
おすすめしたいゴルファー像
- ツアー系の美しさと扱いやすさを両立させたい方
- 飛距離と高さの出しやすさが欲しい方
- ミスヒットへの強さ・実戦での安定感が欲しい方
- 打感よりも構えやすさや安心感を重視する方

BLUEPRINT Sアイアン
特徴と選びどころ
8620カーボンスチール鍛造によるソフトで繊細な打感が最大の魅力です。
ブレードらしい操作性にキャビティ構造の安定感が加わることで、難しすぎない本格派アイアンとして仕上げられています。
おすすめしたいゴルファー像
- 打感の繊細さやフィードバックを重視する方
- コンパクトなヘッドで自在に球を操りたい方
- 本格派を志向しながらも過度な難しさは避けたい方
- 操作性と安定性のバランスを求める方





