ゴルフクラブのシャフトには、トルクというスペック値があります。
トルクは何を表していて、数字が大きい・小さいでどのような違いがあるのか?
「シャフトの人」とも呼ばれるマーク金井氏が解説している動画が分かりやすかったので、その動画を踏まえつつ詳しく解説します。
シャフトのトルクを解説した動画
こちらがマーク金井氏がシャフトのトルクについて解説されている動画です。
トルクの話を中心として、シャフトに関する理解が深まる永久保存版の内容となっています。
動画の主だったポイントを抑えつつ、以下に詳しくまとめました。
トルクとは何を表しているか?
ゴルフクラブのスペックで最もよく目にするのは、フレックスです。
S、SR、Rなど、アルファベットで表されていて、Sが硬い、Rが柔らかい、SRはその中間を表しています。
▼フレックスに関する詳しい説明は下記記事にまとめてあります。
≫ シャフトのフレックスは統一的ではない件【同じフレックスでも硬さは違います】
一方、トルクも大きくはシャフトの柔らかさ・硬さを表しますが、フレックスとは異なります。
一般的にトルク(torque)とは、回転させる力やその大きさのことを表しますが、シャフトではこれと少し異なります。
シャフトのトルクは、一定の力を加えた場合に、どのぐらい回転する(ねじれる)かを表したもので、その回転した角度がトルクの値となります。
メーカー公表値では単位が付いていないことが多いようですが、実際には、4.0°、5.7°といった具合に、角度の「°」が付きます。
トルクの大きい・小さいで何が決まる
- トルクが大きい:シャフトがねじれやすい
- トルクが小さい:シャフトがねじれにくい
トルクは、シャフトの剛性感によるところが大きいため、柔らかいシャフトはトルクが大きく、硬いシャフトはトルクが小さくなります。
トルクが生む効果①
ゴルフクラブのスイングでは、振り上げた後、振り下ろします。
野球とは異なっていて、振り上げた後、振り下ろしで、回転が反対になります。
振り上げた時には、シャフトがねじれてヘッドがオープンする方向に回転します。それを振り下ろした時には、ねじれが戻る方向に作用して、ヘッドがクローズする方向に回転します。
トルクが大きいと、ねじれも大きいため、ヘッドが良くねじれ戻ってくれます。そのため、球のつかまりがよくなるため、スライスが出やすい方に適しています。
トルクが小さいと、ねじれが生じにくいため、ヘッドのオープン・クローズの動きが小さくなります。逆に言えば、自分でヘッドの開閉を操作できるタイプのゴルファーでないと使いこなせないため、中・上級者に適しています。
トルクが生む効果②
トルクは、ヘッドの返りだけではなく、ミスに対する許容性も左右します。
ねじれないシャフトは、スイングに対する遊びがないので、スイングがズレた時には球もズレる。
ただし、自分の意思が伝わりやすいので、ドローやフェードの球を打ちたい時には、トルクが少ない方が意図した球を打ちやすい。
例えば、全く捩れないシャフトを使った場合、スイングの僅かなミスが、そのまま反映されてしまいます。
これは逆に言えば、意図的にヘッド挙動を操りたい方にとっては、ねじれが少ない方が思い通りに動かしやすいとも言えます。
この点から、トルクとは、スイングミスを吸収(許容)してくれる遊びとも言えます。
- トルクが小さい:上級者向け
- トルクが大きい:アマチュア向け
なお、ミスを許容してくれるトルクの値として、マーク金井氏は目安が5.0°以上と述べられています。
各メーカーの実際のトルクの値
ここまでの説明を踏まえながら、実際のメーカー各社はどのようなトルクにしているか見てみましょう。
ダンロップのケース
ダンロップには、ゼクシオとスリクソンという2つのブランドにより、シニアから上級者に至るまで、ほぼ全てのレンジのゴルファーをカバーしています。
▼ダンロップのドライバーのトルク
モデル | S | SR | R |
---|---|---|---|
ゼクシオプライム | 6.6 | 6.7 | 6.8 |
ゼクシオ12 | 6.4 | 6.6 | 6.6 |
ゼクシオX | 5.7 | 5.8 | 5.8 |
ZX7 MKⅡ | 4.2 | 4.2 | - |
こちらの表は、下に行くほど上級者向けとなっています。
シニア向けのプライムでは7に近い値で、アベレージゴルファー向けのXで5台、上級者向けのZX7で4台になっています。
テーラーメイドのケース
テーラーメイドもダンロップと同様に、ステルスグローレという軽量シリーズをリリースしていて、幅広いゴルファーに対応しています。
▼テーラーメイドのドライバーのトルク
モデル | S | SR | R |
---|---|---|---|
ステルスグローレ | 6.7 | 7 | 7.2 |
ステルス2 HD | 4.3 | 4.7 | 5 |
ステルス2 | 4.3 | 4.7 | 5 |
ステルス2 PLUS | 3.7 | 4.1 | 4.4 |
こちらの表も、下に行くほど上級者向けとなっています。
軽量モデルのステルスグローレでは7前後、アベレージゴルファー向けのステルス2HD、ステルスでは4.7前後、上級者向けのステルス2 PLUSでは4前後となっています。
まとめ
ゴルフクラブのシャフトのトルクについて取り上げました。
トルクが大きいと、球のつかまりの良さ、そして、ミスへの許容性の高さ(遊び)が性能として備わります。
フレックスは、業界統一の値はなく、メーカーが勝手に定めているものとなりますので、同じSでも実際の柔らかさ・硬さは異なります。もっと言えば、同じメーカーでも新旧モデルで異なります。
一方、トルクは数値化して表されたものとなりますので、自分に合ったトルクを把握しておくと、シャフトを選ぶ際の参考になりますので、検討・購入される際は、トルクの数値も注目して見てください。