テーラーメイドのQi10 MAXドライバーについて、知っておきたい4つのポイント、試打・評価を取り上げます。
ステルス2 HDとの違いについても解説しますので、Qi10 MAXドライバーの特徴や位置付けが分かる内容となっています。
Qi10 MAXドライバーの特徴
特徴① 慣性モーメント10,000超えは、Qi10シリーズでMAXだけ
PINGもG430 MAX 10Kドライバーを発売し、2024年は遂に「10K」の年の幕開けと言えます。
これまで慣性モーメントは左右方向だけが論じられていて、ルール規制も左右だけでしたが、現実問題としては横ブレ以外にも縦ブレが存在します。
そこで、テーラーメイドもPINGも左右後方と上下方向の慣性モーメント値を足し合わせた値で10,000(10K)を超えるドライバーを開発したのが2024年モデルです。
ただし一つ注意点がありまして、テーラーメイドのQi10シリーズで10Kを超えているのは、ドライバー3種の内、Qi10 MAXドライバーのみです。
上図はテーラーメイドの製品発表会で公開されたものです。これまでのトータルMOの最大はステルス2 HDドライバーの約8.7Kでしたが、Qi10 MAXは大幅に向上して10Kに到達しています。
高MOIを体感したい方、恩恵に与りたい方は、LSやノーマルでは10Kを満たしていませんので、MAXを選択する必要があります。
特徴② 重心角は驚異の41°だが、スライス矯正ドライバーではない
つかまりの良さを表す指標として、クラブの重心角の大きさが用いられることがあります。これは、重心角が大きくなることにより、自然にヘッドが返る働きが生まれるためです。
ただし、重心角が大きいクラブには二つのタイプがありますので、この点は注意が必要です。
重心角を大きくする方法は大きく二つあります。一つは、ヒール側を重くする方法、もう一つは後方を重くする方法です。そして、スライス抑制に大きな効果を発揮するのは、ヒール側を重くする方です。
ところが、Qi10 MAXドライバーは、カーボンフェースにより前方を究極的に軽くし、ストレッチバックの形状をとっていますので、後方を重くしている方になります。つまり、スライス抑制の効果が大きいヒール側ではありません。
後ろが重たいヘッドは重心距離が長くなりますので、てこの原理で後方の重さが助長されます。その結果、短いスイング動作の中でヘッドを返しづらいというスライサーにはネガティブな傾向が生じます。
そのため、Qi10 MAXドライバーのような後方が重たいクラブは、フェースを閉じた状態でシャットにスイングする方に適していると言われています。
もし開閉を大きく行うタイプの方の場合、ヘッドを返しきるのが難しく、右へのミスが出やすくなってしまう可能性があります。
特徴③ 曲がらないが、ステルス2 HDよりつかまらない
メーカーが新シリーズに切り替えた時は、マーケティングの面(宣伝効果)でどうしてもツアープロに使ってもらいたいことから、味付けをアスリート向けにする傾向があります。
これは、SIM、ステルスでも実際そうでして、初代が難しく、2代目がやさしくなっています。
Qi10シリーズについても、つかまり・球の上がりやすさはステルス2の方が優れています。
Qi10 MAXドライバーは、前作ステルス2 HDドライバーよりもハードになっていますので、つかまり、弾道の高さに不安がある方は、ステルス2 HDドライバーから検討されることを強くオススメします。

特徴④ ツアープロもMAXを使用
ゴルフクラブの評価を知る上で参考になるのが、ツアープロの移行状況です。
過去、ステルス、ステルス2では、基本的に低スピンタイプに人気が集中していて、一部、スタンダードモデルを使うプロがいたものの、ドローモデルを選択するプロはいませんでした。
⇒ PGA テーラーメイド契約プロのステルスへの移行状況まとめ
⇒ PGA テーラーメイド契約プロのステルス2への移行状況まとめ
しかし、今回のQi10シリーズでは、ドローモデルに当たるQi10 MAXドライバーを選択しているPGAツアープロが既に確認されています。
コリン・モリカワが実践に投入していまして、バリバリのツアープロが選択しているということ自体、Qi10 MAXドライバーがアベレージゴルファー向けのやさしいモデルとは一味違うことを表しているように見えます。
ちなみに、ステルス、ステルス2では、ドローモデルを使用するPGAのテーラーメイド契約プロはいませんでした。
Qi10 MAXドライバーとステルス2 HDドライバーの違い
それぞれのシリーズの3種類のドライバーを、低スピン・ノーマル・ドローと分けた場合、Qi10 MAXとステルス2 HDはどちらもドローに区分されます。
ただ、クラブの特徴からすると、同じ位置付けのクラブとはみなしにくいところもあります。
この2機種の違いについて、ヘッド形状、スペックの2つの視点から、どのようなタイプのゴルファーに合っているかを解説します。
真っ直ぐ飛ばしたい方はQi10 MAX、つかまえたい方はステルス2 HD
▼左がQi10 MAX、右がステルス2 HD
こちらはクラウンの映像を並べたものです。
左のQi10 MAXの方はヘッドサイズを大きくしていて、後方が長く取られています。
10KのMOIを実現するために、ストレッチバックにしていますので、後方に重心が寄せられています。
▼左がQi10 MAX、右がステルス2 HD
こちらは横から見たヘッド形状の映像を並べたものです。
Qi10 MAXの方が後ろを長く取ってて、後方に重量を寄せている設計意図が良く表れています。
そのため、直進性はQi10 MAXの方が優れていますが、重心距離・重心深度が長めのため、後方が重たく感じられヘッドを返しにくいという特徴も併せ持っています。
ヘッドの返しやすさという点では、ステルス2 HDの方が優れています。
球はつかまえられるが弾道がブレやすい方はQi10 MAXから、弾道のブレよりもつかまりに不安がある方はステルス2 HDから検討されることをオススメします。
正確で安定したスイングはQi10 MAX、飛距離が欲しいならステルス2 HD
モデル | Qi10 MAX | ステルス2 HD |
---|---|---|
ロフト角 | 9、10.5、12° | 9、10.5、12° |
ライ角 | 58° | 58° |
ヘッド体積 | 460cc | 460cc |
長さ | 45.25″ | 45.5″ |
バランス | D3 | D3 |
クラブ重量 | 306g | 301g |
シャフト重量 | 56g | 55g |
グリップ重量 | 47.5g | 42g |
ロフト角、ライ角、ヘッド体積は同じスペックですが、クラブ長さが異なっています。
低スピンタイプ(LS・PLUS)とノーマルと比べると、Qi10 MAXとステルス2 HDはショートネックを採用しているため、クラブ長さが0.25インチ短尺になっています。
それに加えて、Qi10 MAXはステルス2 HDよりも0.25インチの短尺になっています。
一方でクラブ重量に目を向けると、Qi10 MAXの方は5gの重量アップとなっています。打ち分けをみていくと、シャフトが1g増、グリップに至っては5.5g増となっていますので、残りをヘッドと考えれば1.5g減ということになります。
実際、クラブバランスはD3のままですから、ヘッドの重量感は同じということになります。
Qi10 MAXは、短尺、かつ、グリップ側に重量を寄せたカウンターバランスになっていますので、より正確にスイングしやすいクラブになっています。
ただし、飛距離性能という点でみれば、長く重い方が有利に働きますので、ステルス2 HDの方が遠くに飛ばすポテンシャルを有しています。
スイング精度を高めたい方はQi10 MAXから、飛距離が重要という方はステルス2 HDから検討されることをオススメします。
Qi10 MAXドライバーの試打・評価
Qi10 MAXドライバーをトラックマンで計測試打・評価
試打クラブは、Qi10 MAXドライバー 9.0°・10.5°/ディアマナ BLUE TM50 Sです。
- フェースはカーボンという感じがしない。金属フェースのよう。弾いてる感じがして軽い感じの球離れ。
- HDの後継だが、ぐいんぐいんつかまるわけではない。軽いドローボール。
- スピンが入って、球は上がる。9°でも上がる。
- とにかく曲がらない。捩れないで真っ直ぐ飛ぶ。曲げたくない人が使うのに良い。ドライバーが簡単になる。何発打ってもフェアウェイ。
- 構えた感じ、ヘッドは大きいがアップライトでつかまる感じがする。テーラーメイドが作ったPINGと言うぐらい、ヘッド大きく曲がらず、球が上がりやすくて、ほんのりつかまる。弾道がPINGっぽい。
- ドライバーが嫌いな人に良い。
Qi10 MAXドライバーの特徴をゴルフライターが解説
▼Qi10 MAXの解説(32:50)から再生
Qi10 MAXドライバーをプロがコースで試打
- 構えた時にクラウンが全てカーボンになっていて(金属パーツが無くなっていて)構えやすい。
- ヘッド後方が実際は長くなっているが、違和感はない。
- 打感は柔らかい。感触は良い。ヒールで打っても、失敗したという感じではない。
- スピンは入る(3000を超える)。サッカーの無回転シュートと同じで、ある程度はスピンが入っている方が曲がらない。
Qi10 MAXドライバーのスペック
▼可変スリーブ(ロフト角・ライ角、ウェイト)の使い方

▼ウェイト調整機能の使い方

クラブスペック
- ロフト角:9、10.5、12°
- ライ角:58°
- ヘッド体積:460cc
- 長さ:45.25インチ
シャフトスペック
<Diamana BLUE TM50>
硬さ | シャフト重量 | クラブ重量 | トルク | 調子 | バランス |
---|---|---|---|---|---|
R | 54 | 304 | 4.3 | 中 | D3.0 |
SR | 56 | 306 | 4.6 | 中 | D3.0 |
S | 58 | 310 | 4.9 | 中 | D3.5 |
Qi10 MAXドライバーの発売日・発売価格
Qi10 MAXドライバーの発売日は、2024年2月2日です。発売価格は、¥95,700(税込)です。
